禁断の魔術 東野圭吾
あらすじ
同タイトルの短編集「禁断の魔術」の1編「猛射つ」に大幅に加筆・改稿した長編小説です。
湯川は出身高校で所属していた物理研究会の後輩にあたる古芝伸吾から手紙を受け取ったことをきっかけに新入生歓迎会のデモンストレーションのための装置の設計を手伝う。この装置のおかげで新入生も入部し、高校を卒業した古芝は湯川の大学に入学する。しかし、1カ月もしないうちに自主退学してしまう。
一方、草薙刑事は、ある記者の殺害事件を追っていて湯川につながったため湯川の元を訪れるが…。
ここからネタバレ含む感想
短編から派生した長編小説です。短編集とタイトルが同じなので購入する場合は、内容を確認してください。
発端は、ある記者が殺害される事件ですが、そこから出てくる情報は湯川につながることが多い。事件の真相がわからず焦る警察側に対して、得ていた情報から湯川はかなり早い段階で、状況を把握していたような感じです。
いつもクールな湯川らしくなく、(いや、そうでもないか…)古芝に肩入れし警察が真相に近づくまでその情報を言わずに一人で調べていたような形跡が後から出てきます。最後の湯川が賭けに出るところはいつもとは少し違う湯川の一面が見えたようなきがします。終わり方は、少し納得がいかないかなぁと思いました。
映画「沈黙のパレード」に先駆けてテレビドラマとして放映されましたが、最後の終わり方はドラマの方がスカッと終わっている気がしました。原作にかなり忠実でそれでも原作の弱いところをうまくアレンジしてつないである感じです。