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子どもたちは夜と遊ぶ(上・下) 辻村深月
あらすじ
大学の同じ研究室の孝太と浅葱は、論文コンテストに応募していた。最優秀賞の副賞は海外留学だった。二人のうちどちらかが最優秀賞を取ると思われていたが、意外にも該当者は無し。しかも、「i」と名乗る匿名の者に受賞の権利があるので名乗り出ることと添えられていた。浅葱は一人自分の下宿で結果を見た。一方、孝太は大学の研究室で孝太を追いかけて同じ大学に入学した月子や同じ研究室の恭司たちの前で結果を確認した。
その2年後、「i」の正体はわからず、留学は該当者なしまま立ち消えとなった。そして、連続殺人事件が起こる。
読順4番目です。
ここからネタバレ含む感想
こんなにあらすじが書きにくい小説も難しいです。それだけ、お話が入り組んでいるということなのですが…。
連続殺人事件が起こりますが、連続…と周りが気が付くのは「i」が暴露文を大学のWebページを改ざんして載せたためです。これが無ければ、事件も発覚しなかった。連続殺人事件は「i」と「θ」が交互に殺人事件を起こし、次の被害者の条件を指定し、もう一人がその条件に合う被害者を探して殺害する。
猟奇的殺人な要素も含みつつ、実は恋愛小説だということは最後まで読んで初めてわかる。しかも、状況が違えばきっと違う結末があったのではないかと…、被害者ももっと少なく済んだのではないかと…、ある種の勘違いと思い込みの結果起きた悲劇ではないか、お互いにもう少し早くいろいろ意思表示していれば違った結末があったのではないかと、いろいろ考えさせられる結末だったけど、その数知れず重なった不幸も乗り越えていくのかなと思わせるラストではあったかな…。
と、ネタバレ含むでも核心を書かないように感想を書くのは難しいと感じました。辻村さんのお話はこんなのが多いのかな…。