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がらくた屋と月の夜話 谷瑞恵

あらすじ

会社員の山本つき子は、人数合わせで誘われた飲み会の帰り道、飲み会で話が出た和菓子屋が気になりその店を探すことにしたが、道に迷ってしまった。そこで出会った老人は古びた革製のトランクの中にガラクタのような品を扱う古道具屋さんだった。ただし、トランクの中の品にはそれにまつわる話があり品のセットでその話を聞くことができるという。その日、つき子は大切にしていた指輪を古道具屋で無くしてしまい後日、指輪を探しに古道具屋を訪れる。

ここからネタバレ含む感想

谷さんらしい、癒し系のお話です。ほぼほぼガラクタなのですが、そのがらくたの話が購入者の心の中に渦巻く不安を解消していくという感じで、話中話のガラクタの話も凝っていてなかなか面白かったです。
がらくた屋の老人には息子という弓原がいて親子という割には、弓原は施設で育った後紆余曲折してがらくた屋の近くの高校で教員をしています。老人には反発していますが、つき子が指輪を探しにがらくた屋を訪れるようになると時々和菓子を手土産にがらくた屋に来るようになるつき子ともいろいろ話をするようになります。
つき子がおっとりして、騙されたり利用されたりしやすいキャラクターで友人だったら私も一言二言言いたくなる人物なのですが、それでもうまく魅力的なキャラクターとして描かれているので読みやすいです。一方、謎なのが弓原でかなり粗野で乱暴な感じの人物ですが何故かこちらも人に利用されやすい人物のようでこちらも複雑な人物として描かれています。
読み終わると話の中心は、弓原の存在自体がテーマになっているのではないかと思いましたが、結構複雑な生い立ちなのでよくここまで人生踏み外さずに成長したな…と感じました。つき子との恋愛は、超奥手のつき子に対してどのようにアプローチすればいいのかわからない様子がところどころありここはニヤニヤしながら読みました。

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