サイン会はいかが? 大崎梢
成風堂書店事件メモシリーズの第3弾。
取次の担当者藤永から人気作家影平紀真のサイン会を持ち掛けられた店長は即決で乗り気になってしまった。しかし、そのサイン会には、「影平の熱心なファンで長年やりとりしているがその人物がわからない。そこで、謎の人物がどこの誰なのか解き明かしてくれる店員のいる書店でサイン会を開きたい」という条件付きだった。多恵ちゃんなら大丈夫と気楽な店長だが杏子は一抹の不安を感じる。
ここからネタバレ含む感想
前作は長編でしたが、今回は短編集です。謎の転落死をした人物にまつわるもの、父息子のお話、店員の恋、サイン会事件、店内に置き忘れた手紙の行方まで、多岐に渡っている内容です。多恵の推理にますます磨きがかかっているようですが、書店にかかわる事件限定が強く出ていました。
サイン会事件では、謎のファンが実はストーカーで、影平の作品の中にそのヒントがあると考えた多恵が影平のエッセイの内容から犯人を特定していく…そして、その事件の発端になった出来事を知った多恵が手のひらを反すように影平に冷たくコメントするようになったところが面白かった。多恵ちゃん、成長しているな…。
超鈍いアルバイト店員の恋の顛末も面白かった。この後進展はあるのか…ないのか…。どこかでちらっと出てくると思い白いかも。
文庫版で読んだのですが、最後の解説もよかった。