丸藤と杉浦が美しかった

丸藤正道がサイバーファイトフェスティバルで武藤敬司を破りGHCヘビー級チャンピオンになったことで、ノアの二大トップはGHCナショナルチャンピオンの杉浦と丸藤ということになった。2018年に拳王がGHCチャンピオンだったときに「ノア＝丸藤・杉浦の時代を終わらせる」と宣言し、実際に清宮がチャンピオンとなったり、拳王が杉浦に勝ってN-1を制覇するなど、確実にノアは新しい時代になりつつあった。しかし、現在ノアのチャンピオンに君臨するのは丸藤と杉浦である。事実だけを見ると時代は戻ったように感じるけど、リング上の闘いを見ると果して時代が戻ったと感じるのだろうか？そのあたりも含めて、僕は今回の仙台での丸藤と杉浦のGHC戦を見ていた。

結論から言うと本当の丸藤と杉浦の時代はこれから始まるのかなと感じた。2人の闘いはとても美しかった。近年の日本のプロレス界はユニット抗争や反則介入何でもありのプロレス、お互いの異なる考えを主張するイデオロギー闘争など、リング上の闘いに味付けが多かった。だから、より今回のGHC戦が純粋なプロレスに見えた。昔からノアはこのようなプロレスが多かったのだと思うが、それでも最近はいろんなユニットができたり、グレートムタが登場したり、金網戦があったり、プロレスの幅が広がっている。そんな中で丸藤と杉浦には、ノアのプロレスの核を見せつけられたように感じた。

僕の思う試合の名シーンはお互いの手を握りあって、エルボーとチョップをやりあうところ。お互いの打撃が強烈なのはもちろんだけど、お互いに逃げないところが僕は好きです。サイバーファイトフェスティバルでの金剛とDDTの対抗戦を見ていて感じたことだが、打撃の強いレスラーは各団体たくさんいるが、それを受けれるレスラーはどれだけいるのだろうか？ということ。対抗戦で拳王と中嶋勝彦の打撃をDDTはまともに受けられていなかった。強い蹴りがあっても、受ける方が当たりどこをちょっとずらして受けると、見てて気持ち悪くなることがわかった。つまり、ノアではいつも当たり前のように打撃合戦が行われてるが、それを逃げずに受けるのは本当にすごいんだなって思う。

戦前に21年の戦友という煽りがあったが、21年お互いに強烈な打撃を受け続けてきたからこそ、あの打撃合戦ができるんだと思う。丸藤と杉浦のお互いのエルボーとチョップだけでなく、三沢光晴のエルボーであったり、小橋建太のチョップを受けまくって育った影響もあるに違いない。

丸藤が防衛して、丸藤がGHCヘビー級チャンピオン、杉浦がGHCナショナルチャンピオンという形はこれからも続いていく。これまでも丸藤と杉浦が団体のトップであった時代はあったかもしれないが、その時のノアの状態は決して絶好調というわけではなっかと思う。ノアが苦しいときに踏ん張って支えた2人が、今度は今現在、上昇気流にあるノアのトップに立つ。だから、これからが丸藤と杉浦の時代になるのだと思う。

丸藤は次の防衛戦は広島で桜庭和志に決まったが、僕は丸藤対拳王のGHC戦が見たい。「ノア＝丸藤・杉浦の時代を終わらせる」と言ってから、拳王は杉浦とはかなり闘ってきた印象はあるが、丸藤とはリーグ戦でしか闘ってないと思うので、本格的に抗争したら面白いなって思う。

GHCナショナルチャンピオンの杉浦には、元弾丸ヤンキースの田中将斗とベルトを掛けてやってほしい。理由は書かなくてもわかると思うけど、とにかくバチバチやってるとこが見たい。

丸藤と杉浦がチャンピオンでいても、ノアは新しい闘いを見せ続けてくれるに違いないし、楽しみなカードばかりだ。

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