後楽園ホールに行ってきた #2 【NOAH】
今回のNOAH後楽園ホール大会のメインイベントはN-1VICTORY公式戦、25歳の清宮海斗と58歳の武藤敬司のシングルマッチ。大会の全8試合どれも豪華だけど、このメインイベントが観たくて僕はチケットを買った。今も現役だから失礼だけれど、過去に数々の記録と記憶を残した武藤とこれからの未来にプロレス界を輝かせるであろう清宮の過去と未来の闘いというところが興味深かった。
引き分けでは決勝トーナメントに行けない武藤は、試合開始序盤からいきなりシャイニングウィザードからの足4の字固めで試合を決めようとしたが、決めきれなかった。ここから、試合の主導権を握ったのは清宮だった。武藤にしつこくヘッドロックをかけ続け、フラッシングエルボーとドラゴンスクリューを完全に封じたのが、とても印象的だった。
特に10分過ぎたぐらいで、しつこくヘッドロックをかける清宮を武藤がロープに振った場面、あんなにしつこくヘッドロック決めてたのに、ロープに振られ簡単にヘッドロックほどくんだなと一瞬僕は疑問に感じたのだが、すぐにフラッシングエルボーを回避して、清宮は再びヘッドロックをかけた。この攻防が清宮が計算して、意図的にあえて武藤に技をやらせて避けたなら、素人の僕が言うのも何だけど素晴らしいなと思う。
しかし、技がなかなか決めれない武藤からはイラついた仕草も見られたけど、いくらヘッドロックを食らい続けても焦る感じでもなく、終盤に試合をひっくり返せばいいぐらいの余裕があったようにも見えた。試合は清宮が完全にペースを握っているようにも見えたが、あえて武藤が清宮のペースに乗っている感じも否めなかった。
試合が20分を過ぎたあたりから武藤がスイッチを入れ、得意技を畳み掛けていったが、それを清宮が耐え試合は引き分けという結果に終わった。
武藤敬司に対して、グランドでも互角に勝負し、試合の主導権を渡さない清宮海斗の姿を会場で生で観られたのは、とても満足だった。後楽園ホールまで行ってよかったなと心の底から思う。
でも欲を言えば、清宮に勝ってほしかった。武藤に対して、グランドの攻防で負けないとか、試合のペースを渡さないのは、過去2回のシングルマッチでもそうだったと思う。だから、自分が期待していたことは清宮が武藤からどうやって勝つのか、それが本当は見てみたかった。
リーグ戦の状況的には、引き分けは清宮の勝ちに等しいのかもしれないけど、リーグ戦のことを抜きにして考えると、3度のシングルマッチを行って、清宮は3回とも勝てず、武藤は3回とも負けなかったというふうに僕は捉えている。
勝たなきゃ決勝トーナメントに行けなかった武藤は、勝てなくて予選敗退という結果には悔しさはあるんだろうけど、勝ち負け以上にどういう作品を残すかということの方が大事なのかなと、なんとなく僕は会場で観てて勝手に感じた。
この試合に限らず、武藤敬司の試合を観ててよく思うことは、対戦するNOAHの選手は武藤の膝をほとんど攻めにいかないということ。自分の記憶にあるのはマサ北宮ぐらい。僕はそれをどう捉えたらいいかわかんないけど、悪い考え方をすると、なんか遠慮してるようにも考えられるし、良い考え方をすれば、相手の弱点をあえて攻めないことこそ、美学のある闘いといえるのかもしれない。
人工関節をぶち壊すぐらいのエグい試合を観てみたい気持ちもあるし、弱点を突かずに正面から、どう武藤敬司を倒すかということにも興味がある。
NOAHに武藤敬司が来てから、シングルマッチで武藤に勝てたのはまだ丸藤正道だけなので、NOAHの選手で次に誰が武藤から勝ちを掴むのかが、これからのNOAHの1つの見所だ。もちろん、次の武藤と清宮の4度目のシングルマッチがどういう舞台で、どういう結果になるかも非常に楽しみだ。
※#3に続く