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札幌のIWGPジュニアが楽しみな話を書こうとしたら、結局、二冠統一の愚痴になってしまった【新日本プロレス】

今週末は新日本プロレス札幌二連戦が開催され、1日目のメインはエルデスペラードvs石森太二のIWGPジュニアヘビー級選手権試合である。王者と挑戦者に何か特別な深い因縁があるわけではないが、石森の実力を考えれば、ファンもデスペラードも石森の挑戦に異論はないだろう。

前哨戦のお互いのコメントのやり取りからも、お互いの実力を認めあってることがよくわかる。お互いの所属ユニットが鈴木軍とバレットクラブということを考えると、前哨戦から全く罵詈雑言がないのは珍しく感じられるが、それだけ実力を認めあってることが本心なんだろう。逆に前回のタイトルマッチのデスペラード対YOHのときのデスペラードの辛辣なYOHへの言葉も本心だったことが浮き彫りになる。鈴木軍というヒールユニットに所属しているとはいえ、全てに対して否定するのではなく、いいものはいいと言い、悪いものは悪いというスタンスは、僕がデスペラードの好きなところだ。

前回の大阪城ホールでの試合後にデスペラードがタイトルマッチの試合順について言及し、それが直接影響したとは言えないが、今回はIWGPジュニアのタイトルマッチはメインイベントとなった。現在のIWGPジュニアのベルトの立ち位置を考えてみると、そもそも今の新日本プロレスは国内にシングルベルトが2本しかないことに気がついてしまった。IWGP世界ヘビー級王座とIWGPジュニアの2本。シングルベルトが2本しかないということは、つまり必然的にIWGPジュニアはIWGP世界ヘビーとこれまで以上に比較されるのだと思う。比較されるってことは、ジュニアの価値をヘビーのベルトの価値に近づけるチャンスでもあると思う。

話が少し変わるが2020年の新日本プロレスはコロナの影響もあるがファンの満足度はここ数年の中では低かったのは事実である。原因はやはりIWGP2冠の戦いだろう。だが僕はもう一つの原因はIWGPジュニアのタイトルマッチが1年間でたったの3度しか行われなかったことなのではないかと考えている。もちろんこれもコロナの影響もあるが、2冠戦は6度、NEVERは7度2020年に行われている。

2019の年末にIWGPヘビーとインターコンチを統一するか否かのファン投票があった。僕は反対に票を入れたのだが、理由は2冠になったら1つタイトルマッチが減って、楽しみが減るのが嫌であったから。提唱者の内藤哲也は2冠王になったら、別々に防衛戦を行うと話していたが、僕はそれに全く現実味がないなと感じた。IWGPヘビー単体を狙うレスラーは確かいたかもしれないが、反対にインターコンチだけ獲りにいくレスラーなどいるのか疑問だし、ほとんどのレスラーは2本欲しいに決まっている。そして実際に2020年に1度もベルトをわけて防衛戦が行われることはなかった。

2冠になってから感じたことだが、今までインターコンチが担っていた役割はかなり大きかったのではないかということ。あまり昔のことは詳しくないが、まだ日本のプロレスが2大メジャーであった時、IWGPヘビーの最大のライバルは全日本の三冠ヘビーだったのだと思う。そして、2001年になるとノアでGHCヘビーが誕生し、IWGPヘビーの新たなライバルとして君臨したのだと思う。だが、やがて日本のプロレス界において新日本プロレスは一強状態となりIWGPヘビーのベルトも他団体のベルトと比べることのできない程の存在になったのだろう。そこで、新たに新日本プロレスでIWGPインターコンチネンタル王座が誕生し、やがては東京ドームのメインイベントに上り詰めたわけで、ここ数年IWGPヘビーの最大のライバルはインターコンチだったに違いない。それが、二冠に統一されたことでIWGPヘビーのライバル的存在はなくなった。USヘビーはアメリカに消え、NEVERは無差別級の色が強くなり、別ベクトルの戦いだったし、IWGPジュニアは滅多にタイトルマッチが行われなかった。今まではIWGPヘビーが多少イマイチでもインターコンチはよかったから興業全体的にはよかったということがあったが、2020年はIWGP2冠戦イマイチだった、、それで興業もイマイチになってしまったわけだ。

だから、今IWGPジュニアに求められることはIWGP世界ヘビーのライバルになることだと思う。ここ数年のIWGPジュニアの試合のクオリティはずっと高かったが、中心選手が海外に渡ったり、ヘビー級に転向したせいで、上がってきた価値が少し落ちることの連続だった。ただ今の新日本ジュニアの顔ぶれを見るとそう簡単には新日本ジュニアを捨てないメンバーであると信じている。

今回のデスペラードと石森の勝者はいずれ高橋ヒロムと戦うことになるだろう。高橋ヒロムの復帰はいつになるかまだわからないが、復帰が近いことは間違いない。デスペラードもしくは石森太二と高橋ヒロムのタイトルマッチが東京ドームのセミファイナルになるのか、もしくは、メットライフドーム初日のメインイベントになるかもしれないと思うと、これからの新日本ジュニアの戦いが楽しみで仕方ない。

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