【コラム】Eコマースの成長鈍化と中華EC

賃貸物流施設市場の空室率の上昇がなかなか止まりません。数年前のコロナ禍に、開発事業への新規参入が相次ぎ、現在も大量供給が続いていることが最大の要因ですが、需要の牽引役だったEコマースの成長鈍化も影響しています。この5年間のアマゾン(日本事業)の売上高とその前年比は以下となります(ドルベース)。

2019年 160.0億ドル(15.7%増)
2020年 204.6億ドル(27.9%増)
2021年 230.7億ドル(12.8%増)
2022年 243.9億ドル(5.7%増)
2023年 260.0億ドル(6.6%増)

コロナ禍の真っ只中の2020年は巣ごもり消費もあって売上高はプラス27.9%と急増しましたが、直近の2023年はプラス6.6%と低調で、為替もありますが成長スピードが鈍化しているのは間違いありません(参考までに、円ベースで前年比を概算で算出すると、2020年は約25%増、2023年は約14%増となります)。

現在もEコマースは成長していますが、コロナ禍で相次いだ物流拠点の開設は、倉庫需要を先食いした側面があり、しばらくは需給ギャップが解消しづらいです。また、中華ECが伸びている点も気になります。現在の中華ECは日本国内に在庫を持たずに、中国本土のサプライヤーの倉庫から商品が直接届ける仕組みで、一定金額(16,666円)まで関税と消費税を回避し、実質的に個人輸入と類似した形態となっています。今後、取扱高が拡大してくれば、顧客へのリードタイムを意識し、日本国内で在庫保管するかもしれませんが、しばらくは中華ECのシェア拡大は、国内の倉庫需要の下押し圧力となりそうです。

中華ECには安かろう悪かろうのイメージがありますが、品質と価格のバランスが取れた優れた商品も多く、私も時折利用しています。ただ残念ながら、メーカーやサプライヤーがあまりに多く、ブランド自体の認知度も高まっていないので、上手なお買い物がまだまだ難しいです。今後、日本語での口コミ情報がもっともっと蓄積され、中華ブランドが身近になれば、手に取りやすくなります。セコいマーケティングはほどほどに、悪貨が良貨を駆逐することなく、価格と品質のバランスに優れた多くの中華ブランドが、日本国内でも確固たる地位を築いてほしいと、イチ消費者として願っています。


国際物流総合展への出展とセミナーのご案内

一五不動産情報サービスは、9月10日(火)~13日(金)に東京ビッグサイトにて開催される国際物流総合展2024に出展いたします。ご来場の際は、お気軽に弊社ブース(東展示場7ホール ブース番号7-303)にお立ち寄りくださいませ。

また、国際物流総合展に先立ち、8月28日(水)に開催される出展者ウェビナー(ライブ型オンラインセミナー)でも講演いたします。

出展者ウェビナー(ライブ型オンラインセミナー)
日  時:8月28日(水)13:00~13:45
タイトル:余りはじめた物流倉庫と足りない物流用地
     工業地帯の移り変わりとこれからの物流不動産
参加申込:以下のURLからお申込いただけます。
https://www.logis-tech-tokyo.gr.jp/ltt/visit/index.html#visit_webinar

国際物流総合展、出展者ウェビナーとも無料(要事前登録)ですので、何卒お気軽にお申込いただければと存じます。


本稿は株式会社一五不動産情報サービスが運営する、開発が相次ぐ賃貸物流施設に関する情報を集約したウェブサイト「一五蔵」のメールマガジンで投稿されたコラムです。
一五蔵
https://cloud.ichigo-re.co.jp/lp

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