【コラム】2025年の見通しを東京圏と関西圏で比較する
2025年の賃貸市況の見通しを東京圏と関西圏についてそれぞれみます。まず東京圏ですが、昨年11月28日に配信した調査レポート(https://www.ichigo-re.co.jp/report/report-market/4383/)でも詳述した通り、最近は空室率の上昇スピードが鈍化していますので、2025年上半期には空室率の上昇に歯止めがかかると、弊社では予想しています。この見解の根拠はシンプルで、東京圏では新規供給物件が抑制される一方、需要サイドは概ね安定していますので、緩やかに需給バランスは緩和から均衡に向かうという見立てです。
次に関西圏ですが、需要が概ね安定的という点は東京圏と同傾向ですが、供給サイドが大きく異なります。2025年の新規供給物件は24物件、延床面積累計で170万㎡を上回り、過去最大となります。開発物件のプレリーシングは順調に進む案件が多いとはいえ、これだけの供給ボリュームになりますので、現在の良好な賃貸市況がそのまま続くとは考えにくいです。直近(24年10月)の空室率は3.6%と低水準ですが、2025年は需給逼迫感の解消が進みます。しばらくは落ち着いたマーケットとなりそうですが、その後は需給緩和に向かうでしょう。そうなると、関西圏の賃貸市況の方向感は、東京圏とは逆向きになりますので、2025年中ではないかもしれませんが、早晩、東京圏と関西圏で市況感が逆転することが予想されます。
一般的に、賃貸市況が良好なときは、多くの地域や物件にその恩恵が行き渡りますが、賃貸市況が後退しはじめると、各物件の実力が如実に現れてきます。まずは物件の市場競争力の判断が肝で、市場競争力がやや劣ると判断した場合は、物件担当者様の腕の見せ所です。賃貸条件を少し妥協してでもリーシングを急ぐか、じっくりと良いテナントを探すか、各社(各物件)で判断が分かれそうで、2025年は関西圏に特に注目したいです。
本稿は株式会社一五不動産情報サービスが運営する、開発が相次ぐ賃貸物流施設に関する情報を集約したウェブサイト「一五蔵」のメールマガジンで投稿されたコラムです。
一五蔵
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