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OBS Studioでの演劇の映像照射について地底人CEREMONY版(河原)
概要
どうもお久しぶりです。壱劇屋の映像担当の河原です。
前回OBS Studioでの映像照射LOVE TOURNAMENT版を書きましたが、あれから少々技術が進歩しましたのでお伝えするために筆をとった次第です。
なのでこの記事は前回に引き続き
・演劇で映像を使用したい(出来れば安価で)
・演劇での映像表現をステップアップしたい
・技術的な話を見るのが好き
方向けの記事となります。
まずどういう進歩をしたのかをお伝えしますと映像オペ人員が要らなくなった(舞台上で役者が行える)のです。
これは演劇において革命的な進歩です。もちろんべたづきじゃない分、トラブルが発生したときになんとも出来んというやばめなリスクはあるのですが、演劇で映像照射を更に気軽に行えるようになったというのは非常にいいポイントかと思います。
このやり方をお伝えするのと、地底人CEREMONYで組んでいた機材の仕組みなどもお伝えするのでぜひパクってください。
インターネット先人の備忘録メモに幾度となく助けられた僕はこのような技術を出し惜しみするわけにはいきません。
前日譚
話は一公演遡りまして「トモダチガーデン」の学校公演の頃。
トモダチガーデンでも映像照射を行っておりました。
その時は舞台上の可動台にプロジェクターを置いて、ながーいHDMIケーブルでつなぎ袖で役者がオペをするという変態仕様の照射をしてました(これもかなりリスキーな仕組みなんです)
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大阪公演であるABC HALLではなんとか20mのHDMIケーブルで事足りていたのですが、次の学校公演ではなんと20mではHDMIケーブルの長さが足りないということが発覚。なんとか劇中の台の動きには対応できるが、それには
役者が捌けない舞台袖に置かないといけないという何ともじれったい状態に。
HDMIケーブルは長くなればなるほど映像が映らないリスクが増え、音とのズレもおおきくなり、何より金額が膨れ上がるという特性があるので、出来れば買い足さずに何とか出来ないかと考えていた僕はある仕組みを思いつきました。(普通の映像の知識がある人はBNCケーブルに変換して対応すると思います)
それはPCのキーボードを無線化して別袖に設置すればいいのではないかというものです。
前回解説したと思いますが、OBS Studioでのキュー送りは下キーでシーンを送っていくだけ。下キーさえ押せればなんでもええのです。
つまり無線のキーボードがあれば既存のHDMIケーブルでもいけると僕は考えました。
目論見はうまくいき、無事に公演はトラブルなく終えることが出来ました。
この時のポイントとしては、Bluetooth接続の無線ではなく、USBドングでの接続をする2.4GHzキーボードを使用する必要があります。
理由としては一点。Bluetooth接続は操作がないと自然と切れてしまいますが、USBの無線接続は切れません。これ大事。
この技術を2024年の10月に手に入れたことを踏まえまして、地底人CEREMONYの映像照射の仕組みへと話は映っていきます。
地底人CEREMONY版
基本的な仕組みは相も変わらずOBSで事前にキューを組んでおいて、タイミングに合わせて下キーを押すというものです。
今回のプロジェクターは劇場に常備されているもので、キャットウォークという天井の通路に設置されていました。
プロジェクターの近くにパソコンを設置し(客席最上段の更にうえのあたり)キーボードは上手の式台にセットしてました
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このPC~キーボード間の距離がけっこういかちぃ距離でしたが、実際に劇場でやった結果全く問題ありませんでした。たぶん直線距離で10m以上あるけど届きました。もし同じことをしようとして遠くて問題がありそうな場合はUSB延長ケーブルを使って受けの場所を近づければ問題は解決すると思います。
そんなわけで過去に手に入れた技術は今回も問題なく使えることが判明。
あと地底人CEREMONYが過去公演と違うポイントは2個ありましてそちらの解説。
まず一つ目はLOVE TOURNAMENT、トモダチガーデンでは映像のみの照射でしたが今回は画像も照射しております。
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画像のいいところはポジショニングが楽というところですね。
場当たり段階で説明用の画像が被って見えにくいという小トラブルがありました。
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そこで画像を加工して最終的にこのような配置にしたことで、転換しつつ文字に被らないということを実現しております。
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前回解説した通り、OBSはレイヤー層あるんで、映像の上に画像を乗せて表現することも可能。逆もまた叱り。今回で言うとキンヂのTwiXのシーンは画像の上にポップアップする映像を乗せていることでポストが飛び出ている感じを表現しています。
そしてもう一点。これは後半の盛り上がりポイントでしたがお客さんが送ってくれたバニモンくんの写真を映すシーン。
これに関しては僕の組んでいるOBSのシステムの弱点を見事に突かれていまして、このシステムは基本的に途中で素材を変更することを想定していません。
しかしこれはリアルタイムでお客さんが送ってくれた写真を載せることが一番のおいしいポイント。
これをどう解決したかと言いますと、ここは力業。
本番中に変更して大丈夫なPCをもう一台用意してそれをつなぎました。
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照射中に編集するとその様が全部出る恐れがあります。(OBSのスタジオモードっていうの押したら回避出来るんやけどそうするとキュー送りが出来なくなる)
そこでPC1にPC2の照射してるものを映すキューをいれ、PC2で編集して照射するという風にしました。取り込み方は前回のLOVE TOURNAMENTの解説にて。こうすることでPC1で該当キューにならない限りPC2の画面は映されません。その間にPC2で上に画像を載せるという手法を撮りました。
まずこの画像もかなり紆余曲折を経てゲットしているものであり、お客さんに該当アドレスにメールを送ってもらう→大熊さんが画像を選別しUSBに入れて所定の位置に置く→それを僕がPCに取り込むというプロセスでやっておりました。
今回はマジで特殊ケース過ぎましたが、まぁ人間考えれば持ってるものでいろいろ解決出来るもんです。
同じようにやることはなかなかないと思いますが、参考にしていただいてこれを見ているあなたの映像のお困りごとの解決の糸口になればとても最高です。
次回、3月のルミエールの冒険の映像ネタについてまた執筆します。
もしよければルミエールの冒険観に来てください。
ほなまた