金持ち教習所
ーーバリィン!
窓ガラスの割れる音に目を覚ますと、男が傍らに立ちすくんでいた。体を起こそうとした刹那、頬を何かで叩かれた。
それは札束だった。札束で何度も体中を叩きこむと、男は部屋を出ていった。
「うう。間違えたなぁ...」
金持ち教習所ではなく金持ち強襲所に登録してしまった後悔に体が沈む。私は金持ち襲来に、眠れない日が続いていた。
やつから逃げるため、どれだけ人里離れた場所に身を隠しても金持ちは必ず嗅ぎつけ、夜な夜な強襲してきた。
私は金のない土地に移るため、イカダで海に出航した。しかし、素人が一人で海に出るものではない。遭難して干からびていると、一艘の漁船に救われた。命からがら船に乗り込むと、そこに見覚えのある人影。
ーー金持ちだ!
札束で飛びかかってくる男。私は足元のマグロを両手で拾いあげ、奴の横っ腹に叩き込んだ!金持ちは海の藻屑となった。
『以来、私はこの船でお世話になってます。心配しないで母さん』
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