消しゴム顔
理科室では薬品を片手に先生が実験の注意点を説明していた。
僕の隣では、友人のNOMO(ノモ)がノートに横顔を置いて寝ていた。
昨日は遅くまでゲームをしていて眠い、とは言っていたが、こんなに堂々と寝るか普通。
「......」
うわあ。先生、こっちみてるよ。
「ううん」
寝返りをうったノモは、反対側を見ていた顔を、ノートに顔を擦りながらこちらに向けた。
すると、ノモの鼻が真っ黒になっていた。ノートを覗き込んでみると、鉛筆の文字は消えていた。そうか、ノモだから。
悪い夢でも見ているのかノモは何度も顔をノートに擦り付けた。ノートの周りはノモの消しカスだらけになった。
「じゃあ、アンモニア酢酸がどれだけ臭いのか確認してもらおうか.......おい、ノモ!」
「はい!」
罰ゲームを思いついた先生は、ノモを叩き起こした。ノモは先生のそばに近づくと、ビーカーをうけとり、恐る恐る顔を近づけた。
ーー大丈夫だ、ノモ。
「お前には鼻がないじゃないか!」