私達が作る社会的ネットワークは、ほとんどが自分に似た人で構成されている
15年程前にピックアップしたメルマガに、「私達が作る社会的ネットワークは、ほとんどが自分に似た人で構成されている」という記事がありました。
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コロンビア大学のポール・イングラムとマイケル・モリスのふたりの教授が行った研究で、経営者らをカジュアルなカクテルパーティに招待し、初対面の相手と交流するよう促したにも関わらず、結果は、ほとんどが投資家、マーケター、会計士など自分と同じ属性、もしくは、それに近い相手との関係を結びがちだったそうです。
さらに、プリンストン大学のマーティン・ルーフ教授の起業家766名を対象とした聞き取り調査でも、多くの起業家達の交際範囲が、出身や興味などで均質であることを突き止めた。(’07) とも書かれていました。
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SNS全盛の現在でも理解できるこの傾向、皆さんも、改めてご自身のフエイスブックにラインナップされている「友達」を眺めてください。
人は誰しも自分の専門分野によりどころを見出します。そのエリア内にあることで安心感が得られます。専門外のことはもちろん不得手だったり、もともと興味が無いわけですから、異業種の人との接触は少なくなります。そんなことで、互いに話題が合う人たちとの輪が広がるということになります。
さて、私は28年超えの交流会を主宰しています。会員数はこのコロナ禍の影響があったりして減ったとはいえ、現在51名。その他、例会案内をさせていただくビジターも100名に近いですから、毎月150名程の方々に発信していることになります。その正会員の職業・職種は以下のようです。
正会員だけでもこのバリエーション。ビジターが加わったらどんなにバラエティに富んだラインナップになるのか、想像するだけでも楽しくなります。
ここでさらに前述のメルマガの表現を借ります。
少数ながらも、社外の人間・自分と異なる経歴の人と「弱い絆」を維持している人の存在も明らかになっているそうです。これらの人の人的ネットワークは、特定の方向性が無く、情報のエントロピー(乱雑、複雑、無秩序と略しておきます)に満ちており、思いがけない事を話しかけてくる人と交際したり、行き当たりばったりの他人との会話で、驚くべき相互作用を引き出す事があるそうです。
実際に私の交流会でも、参加者の方々に、この”効果による実利”に対するお礼の言葉を、複数いただく機会が絶えません。
ルーフ教授は、これら起業家の独創性にひとりひとりポイントを付けてランキング化したそうです。結果、エントロピー的な人的ネットワークを持つ経営者は、予測可能なネットワークしか持たない人に比べ、3倍も独創的ポイントが高かったと言います。
つまり、革新的な人に新奇な情報を与えてくれるのは、実は「弱い絆と関係の遠い知人というネットワーク」が寄与しているのだと指摘しています。
学歴主義的な教育体制は、同質の優秀な者を集めてより優秀にする一方、多様性を失わせる。として、若者には、自分の知らない他者や異なる背景の者と知り合う事を勧めるべきであり、これが革新や成功に結びつくと結論づけてもいました。
私自身も”現役”当時、私の交流会の「エントロピー」に、どんなに助けられたか想像に難くありません。そして、現役というイスからかなり離れての現在、その時代に懸命に”収集した”名刺は、全く役に立たず、残念ながら私の「ビジネス人脈」の底の浅さが露呈されました。
この交流会を30数年近く前に発会していなかったらと考えると、今も、うすら寒くなるのです。