
ダニーと旅の記憶。
この夏、旅に出た。
2週間、ニューヨークとロサンゼルスを旅した。
ニューヨークは、16年ぶり。
元々は、去年訪れたロサンゼルスの行けなかった場所を訪れるために計画していたが、映画を見ているとニューヨークが舞台のものも多く、Wickedが映画化されることから、本場で観るか!と思い、両方ぶち込んで見た。
Wickedは、ロンドンで一度鑑賞したが、大好きな曲のPopularがブリティッシュアクセントで、アメリカで観ることを心に誓ってから、実に16年ぶりに願いが叶った。
旅の途中、腕にいくつか虫に刺され、気づくと足にも虫刺されの跡。
日本に帰ってきても痒みは治らず、薬局で薬を購入。
どうやらその跡から、ダニに刺されたらしい。
痒くてしょうがないが、少しでも親しみを持つべく、ダニーと呼ぶことにする。
そうすると、不思議と何だか可愛く思えてくる。
どこでダニーに刺されたのか、ニューヨークのホテルなのか、外でご飯を食べた時か、友人の家で猫や犬と戯れた時か、LAの薄気味悪い赤い虫が見えたような気がしたホテルなのか。
幸いなことにダニーを日本には連れ帰っていないが、ニューヨークからロサンゼルスを一緒に旅していたかもしれない。
3月頃に旅を計画してから、あれこれ調べたり、いろんな人に連絡を取ったりしていた毎日。
現地では、毎日行きたいところに行って、会いたい人に会って、見たいものを見た充実した毎日だった。
帰国してからは、完全燃焼で、熱心に毎日聞いていたラジオも聴けなくなるほど。
仕事に復帰し、いつもの日常が始まる。
旅をしていた毎日が夢のよう。
ただ、体には、アメリカを一緒に旅したダニーの痕跡が。
その赤く腫れた肌を見て、アメリカのあんなこと、こんなことを思い出す。
旅から帰ってきて、約1ヶ月が経つ今、そのダニーの痕跡が少しずつ見えなくなってきた。傷が治るのは良いことだが、なんだか旅の記憶も無くなってしまいそうで、寂しい気がする。
そんな感傷的な気持ちと共に、季節も移り変わる。
夏が終わる。
ありがとう、夏。
ありがとう、ダニー。いや、ダニーはありがとうではないか。
でも間違いなく君は旅の友だった。