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甲と乙の関係

夏真っ盛り。
去年の今頃は、Fuji rock。
苗場で人生最大にびしょ濡れになったっけ。
登場した時のオーラが半端なかったトムヨークに
ステージ時間が急遽変更になったデスキャブ、
氾濫する川、通行止め・・・。

そして、フジの翌日。
私は不動産屋にいた。

物件を内見してから、とんとん拍子に話が進み、
なぜこのタイミングという時期に引っ越すことになった。

フジのトムヨーク待ちをしている時に契約金振り込みの連絡がきて、
契約と重要事項の説明がフジロックの翌日。

前日に財布の中の諭吉までびしょ濡れになり、
ドライヤーで乾かし、乾かない大量の思い出とそれ以上の水分を
含んだ衣類達とともに東京に帰還した。

フジでは傘をさせないため、滝業のごとく、雨に打たれ、
風が吹いても、体温が奪われても、ひたすら耐えるのみ。
そんな1日を過ごしたため、疲労し切っている。
ただ、頭から足元まで風雪に耐えてくれた
ありとあらゆるものの洗濯もしなければならない。

2019年は動画配信もしていたフジ。
最高に天気の良い3日目をうらめしそうな目で眺めながら、
体力の回復を図った。

翌日。日焼けは全くしていないが、
疲れ切った体とFujirockが終わったという喪失感とともに不動産屋に。

そこで始まった重要事項説明。

賃貸契約は初めてなので、何が始まるかと思いきや、
甲は・・・、乙は・・・とひたする繰り返される。
聞いてくうちに甲には有利で乙は甲のいう事を聞かざるを得ない。
「不平等条約」そんな言葉が頭に浮かんだ。
もちろん甲の物件に住うのだから、当たり前なのだが、
自由を制限された乙としては、なんとも言えない気分になりながら、
説明を聞いた。

数日前の真夏の野外音楽イベントから都心の雑居ビルの片隅へ。
自然の中大音量の音楽に酔いしれていた乙は、
萎縮しながら、そっと契約書に印を押したのだった。

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