欧米の轍を神速で駆け抜ける日本の誤・偽情報対策
すでに何度か書いたようにアメリカやヨーロッパで行われている誤・偽情報対策には検証された効果なく、逆効果になっている可能性が指摘されている。そのことを如実に示しているのは民主主義関連指標の悪化と、SNSに起因する暴力行為の増加や抗議活動の大規模化だ。誤・偽情報が社会を不安定化し、混乱に陥れるものであるなら、その成果はこうした指標によって確認できる。結果としてはやればやるほど悪くなっている。
最近の論文や資料から見えてくるデジタル影響工作対策の問題点 偏りがあるうえ有効の検証が不十分
https://note.com/ichi_twnovel/n/nc658fc12d401
日本はアメリカやヨーロッパで行われている誤・偽情報対策を参考にしながら対策を進めてきたが、本格的に同じ轍をより悪いやり方で踏んでいくことになったらしい。政府の有識者会議に参加した有識者の見識には感服する。
政府が「誤情報」常時監視へ 6月に閣議決定 感染症対策の一環で 言論統制の恐れも
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/3f254e04210d70d1ef19972183bfbabdc6e9e246
日本はアメリカとヨーロッパを簡単に追い抜きそうな気がする。アメリカではすでに中露イランがなにもしなくても勝手に国内アクターが騒動を起こす状況になっており、それを悪化させている要因のひとつはイーロン・マスクとXだからだ。Xの利用者の多い日本ではきわめて高い効果があるだろう。
ステージが変わったアメリカのデジタル影響工作 主役は中露イランではなく国内アクター?
https://note.com/ichi_twnovel/n/n809b21cc3d6a
また、アメリカやヨーロッパに比べると透明性がないことも日本の神速化を助ける。
【Fact Check】新型コロナワクチン推進のための「広報プロジェクト」は透明性が確保されているのか?【ワクチンのファクト㉔】
https://infact.press/2024/04/post-23237/
政府主導のナラティブ「江戸しぐさ」のような偽史や日本固有の歴史認識などが氾濫しそう。
数年前から誤・偽情報対策の基本戦略は2つあり、ひとつは中国やインドのような徹底した行動監視・行動誘導・行動評価、もうひとつは国内政府や企業や国民相互の信頼を確立することと言ってきた。前者はわかりやすく、見せかけの成果もでる。なにより中国、インドというと聞こえが悪いが、アメリカやヨーロッパが進めているのもこちらの戦略だ。世界的な趨勢に則っているので失敗しても言い訳がたつ。というかそもそも成功の基準が誤情報を見つけてテイクダウンしたとか、対症療法なので過去の調査研究が示しているように効果は検証されていない。そして民主主義関連の指標は悪化していく。
後者はほとんどの国で行われておらず、検証も難しい。なのでそんなリスクを冒す政治家はいないし、日本の有識者はこれを提唱することはないだろう。
【2024年4月30日追記】
ヨーロッパでは後者のアプローチに変更する動きが出て来ていることを「国内が崩壊しつつあるのはアメリカだけではない ISDのイギリス国内過激派レポート」( https://note.com/ichi_twnovel/n/n81b8e3074997 )に書いた。
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