世界170以上の市民団体がビッグテックのプラットフォーム・ガバナンスへの関与に反対の声
Just Net Coalition(https://justnetcoalition.org)を中心とした世界の170以上の市民団体が国連事務総長あてにメールを送った(https://justnetcoalition.org/big-tech-governing-big-tech.pdf)。その内容を簡単にご紹介したい。
国連のデジタル協力ロードマップ「Roadmap for Digital Cooperation」の問題点を指摘し、改善を求める内容である。彼らが指摘したのは、おおまか下記になる。
・世界はデジタル化の進展によって大きく変わりつつあり、パンデミックはその変化を加速し、重要な転換……を迎えようとしている。この点は国連のロードマップと認識は同じ。
・High Level Multistakeholder BodyがWorld Summit on the Information Society (WSIS) とそのプロセスに影響力を与えることを懸念する。High Level Multistakeholder Bodyとは直裁に言うとアメリカのグーグル、フェイスブック、ウーバーなどのプラットフォーム企業を指している。インターネットのガバナンスにおいて、官民学など広範囲にわたるステークホルダーを交えた検討は必要であるという認識は広く共有されているが、そこに参加できていないグループも存在している(今回のメールに署名したグループ)。
・WSISによって国連インターネットガバナンスは2006年から活動を行っているが、具体的な枠組みの設定は遅れており、High Level Multistakeholder Bodyの影響力を増しているように思える。現在、ビッグテックへの規制は世界的な課題となっているにもかかわらず、それを検討する場に彼らが大きな影響力を持って参加することは、「ビッグテックによるビッグテックのためのビッグテックガバナンス(a Big Tech led body for Global Governance of Big Tech)」につながる。
・現在、検討されている案では、High Level Multistakeholder Bodyを正式に組織に組み込むことが盛り込まれており、これはビッグテック支配を許すことになるため危険である。
そして、High Level Multistakeholder Bodyの参加は不要なので排除する、役割りと機能の明確化、民主化のために必要なこと(ビッグテック規制)などを提案している。
ここでははっきりと述べられていないが、これはグローバル・サウスからの提案と言って差し支えないであろう。170の市民団体のほとんどはグローバル・サウスだ。旗を振っているのはインドである。Just Net Coalitionはインドに基盤を持つ組織だし、関係するIT for Changeもそうだ。インドがなにを考えているのかは、2021年3月22日のMIT Technology Reviewに掲載された「Democratizing data for a fair digital economy」に書かれている。この記事はスポンサー記事で、資金を提供したのはインドのOmidyar Networkだ。同団体は、IT for Changeに資金提供している。
この内容は別記事(https://note.com/ichi_twnovel/n/nd70c2b946dab)でご紹介する。