テクノポーラーによって、ほとんどのネット世論操作への対応が弱体化する
本稿は、ネット世論操作定番本についての補足で、ビッグテックが地政学上のアクターとなったというイアン・ブレマーの指摘を受けてのものです。
イアン・ブレマーが2022年の10大脅威に「テクノポーラー」を上げました。以前ニューズウィークに書いた記事で紹介したビッグテックが地政学上のアクターとしての脅威になるという話です。
日本語では、フォーリン・アフェアーズ・リポート 2021年12月号で読むことが出来ます。
もし、その通りだとすると前掲のチャートは下記のようになりかねません。グレーの部分の有効性が著しく下がります。
なぜなら地政学上の脅威には軍事、経済、外交など総合的対処が不可欠となるためです。かつてサイバー空間という地政学的脅威に対症療法で対応してきたアメリカはうまく対処できずに、ガラスのサイバー大国と呼ばれることになりました。
国家あるいは社会をあげて対峙しなければ対応できない脅威ということです。グレーの部分は対症療法であったり、部分的な対応しかできなかったりしますので、根本的な解決にはいたらない可能性が高くなります。
そう考えると、やはり定番本は右上を中心に書いた方がよさそうです。ただ、地政学的な話も含めると、どんどんフェイクニュースなど一般的に知られていて、関心ありそうな話題から遠ざかってしまうので受け入れてもらえなさそうな気もします。
●書籍(順不同)アマゾンなどへのリンクを貼っています
フォーリン・アフェアーズ・リポート 2021年12月号(イアン・ブレマーのテクノポーラーについての記事が掲載されています)
フェイクニュースの生態系
フェイクニュースを科学する: 拡散するデマ、陰謀論、プロパガンダのしくみ
ニュースの未来
デジタル・ポピュリズム 操作される世論と民主主義
操られる民主主義: デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか
AI vs.民主主義 高度化する世論操作の深層
監視資本主義:人類の未来を賭けた闘い
情報戦争を生き抜く 武器としてのメディアリテラシー
フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器
フェイクと憎悪:歪むメディアと民主主義
The Reality Game: How the Next Wave of Technology Will Break the Truth
The Perfect Weapon: war, sabotage, and fear in the cyber age(邦題:世界の覇権が一気に変わる サイバー完全兵器)
共同提言「健全な言論プラットフォームに向けて ―デジタル・ダイエット宣言 ver.1.0」
「ユーラシア・グループ 2022年10大リスク」
●組織
DemTech(https://demtech.oii.ox.ac.uk)
DFRLab(https://medium.com/dfrlab)
NATO StratCom(https://stratcomcoe.org)
NATO CCDCOE(https://ccdcoe.org)
East Stratcom Task Force(https://euvsdisinfo.eu)
IFCN(https://www.poynter.org/ifcn/)
FIJ(https://fij.info)
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