大西洋評議会デジタルフォレンジックリサーチラボの3月18日のウクライナ危機レポート

大西洋評議会デジタルフォレンジックリサーチラボは3月18日に「Russian War Report: Russia sends military contractors from Georgian breakaway region to Ukraine」(https://www.atlanticcouncil.org/blogs/new-atlanticist/russian-war-report-russia-sends-military-contractors-from-georgian-breakaway-region-to-ukraine/)を公開した。

主な項目は下記。
●欧米SNSの撤退にともないロシア国内にはパチモンなどが登場
ロシア版インスタグラムの登場、メッセンジャーのICQの復活、以前からあるロシアのSNS=Odnoklassnikiの利用者急増などが起こっている。

●まだロシアから撤退していない負け組SNSの利用が増加
Clubhouseなど忘れられていたSNSの利用が活発になり、そこでロシア国内と欧米でのやりとりが可能になっている。

●アメリカのビッグテックは撤退の是非に悩んでいる
ロシアでの利用を許すとロシア政府に悪用されるリスクがあるが、撤退するとロシア国内の一般人も利用できなくなってしまい情報がとざされる。現在、ロシアの独立系メディアや人権団体の活動に支障が生じている。

●ラトビアが行ったロシア政府関連メディアの規制により、同国の情報空間が変化
ラトビア国内でロシア政府関連メディアを禁止し、ロシアのウクライナ侵攻を組織的に支援した新ロシア派を逮捕するなどの動きが出ている。ラトビアの世論調査会社SKDSが行った調査によると、ラトビア語圏ではウクライナ支持90%だったのに対し、ロシア語圏では22%に留まり、ロシア支持21%とさほど変わらなかった。いまだにラトビアではロシア語話者がロシアを表だって批判するのは難しいようだ。

●ロシアが南オセチアのロシア4th Guards Military Baseの民間軍事会社(PMC)をウクライナに送り込んだ

●ベラルーシはウクライナへの地上軍派遣に抵抗している

●中国の論調が新ロシアから中立に変化。その一方でコロナ起源説デマを復活
●ロシアがウクライナのメディアに対してサイバー攻撃を実施
●ロシアはウクライナのマリウポルのドラマ劇場を爆破したのは、ウクライナのアゾフ大隊と主張
●EUはベラルーシのルカシェンコ政権との関係を断つ
●ロシアはグルジアの離脱地域がロシアへの経済依存度を下げるよう要請


関連書籍
『近未来戦の核心サイバー戦-情報大国ロシアの全貌 』(佐々木孝博、扶桑社、2021年10月22日)
『現代ロシアの軍事戦略』(小泉悠、ちくま新書、2021年5月8日)
『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(一田和樹、角川新書、2018年11月10日)
『新しい世界を生きるためのサイバー社会用語集』(一田和樹、原書房、2020年4月20日)
『最新! 世界の常識検定』(一田和樹、集英社、2021年11月19日)






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