『工作・謀略の国際政治 - 世界の情報機関とインテリジェンス戦』(黒井文太郎、ワニブックス)は手元にあると助かる1冊だった
『工作・謀略の国際政治 - 世界の情報機関とインテリジェンス戦』(黒井文太郎、ワニブックス、2024年2月20日)を読んだ。1冊の中に世界の情報機関の情報が詰まっていた。著者のことは以前から存じあげているので、期待していたが、期待以上に幅広く各国の情報機関を紹介していて驚いた。
注目されているハマスとイスラエルから始まり、ウクライナ、アメリカ、ロシア、イギリス、中国、北朝鮮、日本、サウジ、トルコ、ベネズエラ、イラン、インド、パキスタン、ドイツ、日本赤軍、シリアにまでおよぶ。
ほとんどの本はアメリカ、ロシア、中国、ウクライナくらいまででここまで各国の機関を紹介している本は珍しい(この著者の過去の著作にはある)。
ネット世論操作のことについては物足りないと感じたが、それは私がそこを特に調べているせいだと思うのでふつうの読者には充分だと思う。
主要な事件や関係する人物も紹介されているので、参考になると同時に、手元においてなにかあった時に参照するのに便利そうだ。機関名、人物名、事件名から参照することができる。
惜しむらくは索引がないので、いろいろ確認したい時に使うにはKindle版を買って検索するとよいと思う。
欲を言うと、各国の情報機関の紹介の時に、組織図もつけてもらえると体系的な理解の助けになったと思う。組織図作るのは大変そうだけど。
国際情勢が気になる人が手元に置いておくと助かる1冊だと思う。
余談だが、FBIのDITUが取り上げられていなかったのはちょっと残念。情報があまりない組織なので、最近の動向など知りたかった。
この組織はスノーデンが暴露したPrizm暴露でもちゃっかり重要な役割を果たしていた。なぜかほとんどのメディアはDITUを取り上げていなかった。
DITUについては共著『犯罪「事前」捜査 知られざる米国警察当局の技術』(一田和樹、江添佳代子、角川新書、2017年8月10日)で紹介した。
ただ、『犯罪「事前」捜査』も前掲のニューズウィーク日本版も少し古い情報になっていると思う。
自分の本の便乗宣伝でした。
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ネット世論操作とデジタル影響工作:「見えざる手」を可視化する
『ウクライナ侵攻と情報戦』(扶桑社新書)
『フェイクニュース 戦略的戦争兵器』(角川新書)
『犯罪「事前」捜査』(角川新書)<政府機関が利用する民間企業製のスパイウェアについて解説。