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反LGBTQ+活動の過激化 クラブQの事件は氷山の一角にすぎない

●クラブQの銃乱射事件とその背景

クラブQの事件は日本でも報道されているので、ご存じの方も多いと思う。コロラド州の同性愛者が集まるナイトクラブで銃が乱射され、少なくとも5人が死亡、25人が負傷する事件が起きた。事件の背景には、反LGBTQ+運動が活発化し、過激化がある。

・今年だけでも340以上の反LGBTQ+の法案が提出されている。
・ツイッターアカウントLibs of TikTok(@libsoftiktok )はさまざまなヘイトをツイートし、拡散しており、LGBTQ+もそのターゲットになっていた。数カ月前からイベント(ドラッグクイーンの読み聞かせなど)の場所や主宰者をツイートしている。
・過去2ヶ月間に11のLGBTQ+イベントが妨害を受けた。
・右派グループがプライドなどのイベントの妨害を行っている。
・反LGBTQ+の主張が右派から発信されるようになり、共和党の正式な見解になっている。

出典
Club Q shooting follows year of bomb threats, drag protests, anti-trans bills、Washington Post、2022年11月20日、https://www.washingtonpost.com/dc-md-va/2022/11/20/club-q-shooting-lgbtq-harassment/
Mass shooting at Colorado Springs LGBTQ nightclub comes amid a right-wing media hate campaign against drag queens、Media Matters、2022年11月21日、https://www.mediamatters.org/fox-news/mass-shooting-colorado-springs-lgbtq-nightclub-comes-amid-right-wing-media-hate-campaign
Right-Wing Groups Target Pride Events Amid Rising Anti-LGBTQ Rhetoric、Time、2022年11月16日、、https://time.com/6188059/pride-lgbtq-protests-threats-violence/

このnoteでは何回も取り上げてきたが、極右などの過激な非国家アクターが過激になってきている。

●ACLEDは反LGBTQ+活動の過激化

世界の武力衝突の状況をモニターしているACLEDの最新のファクトシート「UPDATE | Fact Sheet: Anti-LGBT+ Mobilization on the Rise in the United States」(2022年11月23日、https://acleddata.com/2022/11/23/update-fact-sheet-anti-lgbt-mobilization-in-the-united-states/)によれば、反LGBTQ+のデモ、オフラインのプロパガンダ、政治的暴力は2020年にデータ収集を初めて以来最高レベルに達している。

今年はこれまでに200件の反LGBTQ+の事件が報告されており、この数は昨年の3倍、2020年と比べて13倍となっている。特にプラウドボーイズやパトリオットフロントなどの右派グループの関与が増加している。

今年の反LGBTQ+活動の74%はデモで、カリフォルニア (22 件)、テキサス(17 件)、フロリダ(9 件)などで行われた。

アメリカの中間選挙では民主党が健闘したが、いまだにアメリカの右派などの反主流派非国家アクターの活動はおさまることはなく、増加しており、国内の不安定化が進展している。

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