MetaのX化とその影響
新領域安全保障研究所のふたつの記事(下記)で紹介したようにMetaは下記の方向転換を行った可能性が高い。
Metaの2024年第4四半期脅威レポートが意味するもの https://inods.co.jp/news/4997/
Metaがファクトチェックを停止し、コミュニティノート型へ https://inods.co.jp/news/4999/
・Meta傘下のSNSの規制緩和(大幅な言論規制緩和と党派性の拡大)
・脅威対策チームの縮小とX化
ひとことで言うと、Xのようになる、という話のようだ。言論の自由というお題目のもとで、投稿内容を大幅に緩和し、政治的なバイアスを強化するアルゴリズムを導入する。
これに伴い、下記の影響が想定される。
・多数のファクトチェック団体の活動縮小もしくは事業撤退
Metaは多数のファクトチェック団体の資金源であるため、Metaの資金が止まった場合、大きな影響が出る。現在、Metaはファクトチェック団体への資金提供に言及していないが、これまでのファクトチェック業務の委託はなくなるだろう。
・ファクトチェックそのものの見直し
Metaが過去のファクトチェックに問題があったことを明言したため、広い範囲でファクトチェックそのものへの見直しが始まる可能性がある。
・米国の偽・誤情報、デジタル影響工作対策の政治化が進む
米国では以前から共和党を中心に、偽・誤情報やデジタル影響工作の研究へバッシングが進み、研究機関の活動停止などが起きていた。Metaの脅威対策活動の後退はさらに全体的な後退につながる。
その一方で、政治的な意図をもった対策は進んでおり(根拠がないので有効性は未検証)、今後もその傾向は強まる。
政治あるいは国家戦略の文脈に合わせてSNSプラットフォームも変化してきているようだ。中露が全領域での戦いを展開しているように米国も民間企業も含めた全領域の戦いに突入しようとしているのかもしれない。そう考えると、イーロン・マスクが米国の同盟国を民主主義を標榜する極右を通じて影響下におく試みも理解できる。
すでにプーチンは米国や欧州の極右を通じて影響工作を行っている。同じことをイーロン・マスクはやっているわけだ。ただし、イーロン・マスクの場合は、自由と経済発展という看板があるので、堂々と正体をさらしてできる。米国全領域作戦の一端を担えるし、自社の利益のために独自の作戦も可能となる。
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