中国型統合管理システムとSNSプラットフォームの類似点
今回は備忘録メモです。前回権威主義国では監視、行動誘導(デジタル影響工作)、賞罰の組み合わせで国民を管理していると書いた。
この3つの組み合わせはいろんなところで見かけるものだが、SNSプラットフォームにもある。
SNSプラットフォームの場合はよく言われているように「いいね!」などのエンゲージメントによって承認欲求が満たされたり、アドレナリンが出たりするらしく(脳科学の人とか研究している)、エンゲージメントが報酬となって、どんどんSNSを利用し、深みにはまっていく。そして、それをコントロールすることで収益につながる。監視資本主義的な見方をすれば彼らは利用者の将来の行動(広告に対するクリックや購買)を販売しているので、利用者の行動のコントロールこそビジネスのコアとなる。
中国型の統合管理システムも、SNSプラットフォームのように国民の行動をコントロールすることで体制を維持、強化し、一定の方向に国家を向かわせることができる。どちらも行動誘導がもっとも重要となる。強制よりは利用者や国民が自ら行動するように誘導する方が効果が大きい。SNSプラットフォームで強制すれば利用者は減少するし、国家の強制には抵抗運動やテロが起きる可能性がある。また、国際的な非難も受けやすい。中国はそのような目に何度も遭っているので、SNSプラットフォームが持っている、利用者が自発的な行動を誘導する手法(アルゴリズム?)をうまく導入することができれば国内の抵抗も少なく、海外からの非難も受けずに国内を管理できるようになる。
そして、その手法(アルゴリズム)をTikTokなど中国系企業のSNSプラットフォームでも展開できれば世界中に影響力を行使することができる。
というわけでSNSプラットフォームと中国型統合的な管理システムは類似点があるような気がしたというメモでした。
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