民主主義指数2023公開 紛争の時代
●概要
新しい民主主義指数が公開された。ご存じのように民主主義は2006年をピークとして後退を続けており、2023年も後退の年となった。対象となった167の国と地域のうち74が民主主義といえる状態だった。そのうち、「完全な民主主義」は24、「瑕疵のある民主主義」50(前年より2つ増加)だった。残りの95は、権威主義と民主主義の混合の「ハイブリッド」であり、59は「権威主義」だった。
全体としてのスコアはグラフように下がっており、ラテンアメリカとカリブ海、MENA(中東、北アフリカ)で大きな後退があった。西ヨーロッパは唯一コロナ前の状態に戻った地域となった。
指標ごとに見ると、ひとつの指標をのぞいた全ての指標は下がり続けている。例外は「政治参加」だが、これは他の指標が下がったことに対する抗議活動が活発になったことを反映しているため、総体としての後退に変わりはない。
世界全体の指数は4.66で過去最低だった。政治への不信が広がっており、民主主義そのものへの信頼も失われてきている。
●感想
何度も書いたけれど、我々の世界は大きく変化しており、民主主義も変化しなけば機能しなくなる。しかし、第二次世界大戦後、民主主義の大きな見直しは行われておらず、その結果、全く時代に合わないものとなってしまった。
当然、信頼もなくなるし、権威主義など他の選択肢に走ることになる。見直しが起こらなかったことが民意だとすれば、後退もまた民意なのかもしれない。
問題はその次に来るものだ。
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