親中派による月額$30のAI支援デジタル影響工作
2023年2月7日、グラフィカ社は「Deepfake It Till You Make It」(https://graphika.com/reports/deepfake-it-till-you-make-it)と題するレポートを公開した。
また、New York Times には関聯した記事が掲載された。
The People Onscreen Are Fake. The Disinformation Is Real.、Feb. 7, 2023、https://www.nytimes.com/2023/02/07/technology/artificial-intelligence-training-deepfake.html
イギリスのSynthesia(https://www.synthesia.io)の月額$30のサービスを利用し、架空のキャラクターがニュースアンカーとして中国共産党に有利な記事を紹介する動画を作成し、「Wolf News」という架空のニュース名でフェイスブック、ツイッター、YouTubeに投稿していた。
グラフィカ社のチームは当初、実在の俳優を使って制作した動画と考えたくらいに騙されやすい。動画には画像の粗さや音声のずれや英語の不正確さなど不自然な箇所はあったが、ネットに投稿される動画ではさほど珍しいことではない。
レポートでは親中派グループSpamouflageによる新しいデジタル影響工作と考えられている。
動画作成ツールはすぐに動画を作れるようにあらかじめ必要なアバターやテンプレートが用意されており、メールを作る程度の手軽さで原稿を用意すればすぐに作れる。しかも多言語対応だ。もちろん日本語にも対応している。
日本語のサンプル動画 https://synthesia-results.s3-eu-west-1.amazonaws.com/website_demos/language_demos/languages_basic/ja-JP.mp4
日本人っぽいアバターもいた https://synthesia-results.s3.eu-west-1.amazonaws.com/website_demos/avatars/kenneth_costume1_cameraA.mp4
https://synthesia-results.s3.eu-west-1.amazonaws.com/website_demos/avatars/james_costume1_cameraA.mp4
制作ツールの紹介ビデオもこのツールで作られている https://synthesia-results.s3.eu-west-1.amazonaws.com/website_demos/Homepage/Hero/Product-demo-long.webm
今後、こうした簡便な動画ツールが増加するにしたがって、デジタル影響工作ツールへの利用も拡大というか各SNSにあふれることが予想される。
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