松島眞己「ほめ育」で医療現場が変わる
・本書は、看護師時代に「ほめ育」に出会い、ほめ育シニアコンサルタントとなった後、高齢者施設併設のクリニックや中小病院を中心にコンサルタントやリーダー研修等を実施し、現在までに3病院のコンサルタントと3病院に6回コースのリーダー研修を実施した著者が、医療現場の実態とその現場での「ほめ育」の実践例と効果について解説した1冊。
・日本看護協会の調査によると、看護職員の退職理由の第1位は「他の職場への興味」で、第2位以下は「転居」「出産」といったライフステージの変化以外に、「勤務時間が長い」「給与に不満」「夜勤が負担」「上司との関係」といったリアルな理由が続く。
・これらの現場の看護師が抱く不満の根底にあるのは、結局のところ「人間関係」ではないかと著者は考える。
・なぜなら、「上司との関係」は言うに及ばず、「勤務時間が長い」「夜勤が負担」「給与に不満」という理由は、いずれも病院内の人間関係がギクシャクしているから生じるものなのだ。
・しっかりとチームワークが機能し、お互いに対する信頼関係ができていれば(もちろん物理的な限界はあるが)、上記の不満はかなり軽減されるだろう。
・実際のところ、病院内の意思疎通がスムーズであれば報告や連絡不足から発生する余計な業務・無駄な業務はかなり減る。看護師同士でお互いにしっかりと声かけ・サポートができれば、一つ一つの作業も早く終わる。
・つまり、職場の人間関係が改善することによって、さまざまな不満は減り、職場に対する愛着すら生まれるのだ。
※著者の身に実際に起こった医療現場の実体験についても述べられているが、詳細は、本書をお読みください。
・「ほめ育」は一般的な「ほめる」(自分が「良い」と思ったことをほめる)とは違い、「『ほめるべき行動』を明確にし、その行動をほめる」というものである。
・たとえば、「ほめる」は、「髪型が似合ってるね」「ネクタイのセンスがいいね」で終わるが、「ほめ育」における「ほめる」は、「来店したお客様に元気な声で挨拶する」といった「お店の業績アップのつながる行動」を明確にしておき、それをしたときに「ほめル」というものである。
・すると、ほめられた人はうれしいから、今後も同じように行動しようとする。また、それを見ていた周囲も「上司はこういう行動を求めている」とわかるので、結果としてスタッフ全員がどんどん「業績アップにつながる行動」をするようになるのだ。
・著者が、「ほめ育」を医療現場に広めたいと考えたのは、
⒈医療機関には「お互いに認め合う文化」が少ない
⒉多くの医療機関では「コミュニケーション」が不足している
⒊多くの医療機関では「ダメ出し」ばかりが横行している
という理由が3つあるからだ。
・新人や入職したばかりの人に対しては、周囲が良いところを認め、周囲が良いところを認め、伸ばそうとしなければ、なかなか定着しないが、多くの医療現場では逆に新人や中途入職者の欠点にばかり目を向けがちである。
・また、さまざまな現場でスタッフ同士のコミュニケーション不足がよく見られるので、お互いが一声かけて協力すれば簡単に済む作業もバラバラにやってしまい、作業効率が低下したりもする。
・医療現場に「ほめ育」を導入することで、
◇お互いを認め合う文化を医療現場に定着させる
◇自然に職場内の会話が増え、お互いが助け合う文化が醸成される
◇「ダメ出し」一辺倒で落ち込んだ現場の空気を変える
といった効果が期待される。実際に著者が医療現場で「ほめ育」を導入したことで、病院幹部や職員の方々から感謝のメッセージを多数いただいたとのこと。
※医療現場で「ほめ育」を導入した経験談と得たものについて記載されているが、詳細は、本書をお読みください。
・本書は、「医療現場のストレスは爆発寸前……!」「『ほめ育』が病棟の『空気』を変える」「まずは『自分をほめること』から」「医療機関での
『ほめ育』実践事例」「『自分を認める』ことが『患者さんのため』になる」という章で構成されており、
◇昔の医療・看護の教育はどう教えられたきたのか
◇「ほめ育」に欠かせない3つのステップ
◇自分の〇〇〇を意識していますか?
◇5つの医療機関での「ほめ育」の導入例
◇医療現場の「ほめ育」導入の成否は〇〇〇にかかっている
など、「人間関係のストレス改善」「良質の医療を提供できる」
「スタッフの休職・退職が減少」といった効果を医療現場にもたらす
「ほめ育」の概要ならびに医療現場での導入方法について紹介した内容となっている。
周囲だけでなく、あなた自身もポジティブに変化する「ほめ育」を医療現場で実践されたい方はご一読くださいませ。
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