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中澤宏介「会社を救うM&A、つぶすM&A 成功する企業の事業承継」

・本書は、大手上場企業の資本提携、事業買収・売却案件を推進し、日本の新聞紙面をにぎわすM&A案件を手掛けた著者が、悪質な業者のカモにされないために知っておきたいM&Aの流れ、業者の活用法、対等に渡り合うために注意すべきポイントを解説した1冊。

・現在、全国各地で企業、とりわけ中小企業の売買の案件が増加している一方、企業の売買を巡って数多くのトラブルも発生している。
・こうした残念なトラブルが起きる背景には、日本ではM&A市場がまだ発展途上で、業界内の整備が不十分であること、十分なノウハウが共有されていないことが挙げられる。
・また、売り手側の企業が「仲介業者」の立ち位置や業務の性質を理解していない点にも問題がある。

・M&A(買収・売却)はこれまで大企業が探る手法だと思われていたが、全国的な中小企業の後継者不足による事業承継が問題となるうちに、M&Aがその解決策になるのではと注目されるようになった。
・現在、中小企業においてもM&Aが広く行われ、その事実が売却後の会社が買い手にどのように運営されるのかをイメージしやすくしたよう。売却による利益で輝かしい第二の人生を想像する経営者が増え、「子どもには人生がある」という考え方が許容され、無理して引き継がせる必要はない、とする考え方が広がっている。
・その一方で、業界や事業の先行きの不透明感、従業員の育成や雇用の不安も心の内にあり、自社だけで運営が必ずしも正解とは限らず、生き残りをかけた他者への承継の可能性もあるなど、さまざまな事情から、一族で代々継承していくことを是とする「家業の在り方」は、大きく変化している。

・「どのタイミングで会社を売却すればよいのか」「いつごろ、売却を考え始めるべきか」は多くの経営者が悩む課題である。帝国データバンクの調査によると、全体の67.4%が、事業承継。経営上の問題として考えている。
・広く「事業承継」を考えたとき、
①親族承継:自分の子どもや子どもの配偶者、きょうだい、おい、めいなどが継ぐ
②社内承継:会社の役員や従業員が継ぐ
③第三者承継(M&A):これまでに事業に関係のなかった第三者が継ぐ
が一般的に取られる方法として挙げられる。
・どの方法を取るかについては、状況次第だが、いずれにしても第三者承継を検討から外さず、①から③すべてを並行して検討することが、「交渉力と金銭面」の観点を理由に重要である。
・M&Aでは、売却プロセスが進めば進むほど、買い手が強く、売り手が弱くなる傾向にある。なぜなら、買い手が買う意思を示さない限り取引は成立しないし、売却プロセスにおいて売り手側はすべての情報開示を行うことで丸裸にされるからだ。
・情報漏えいのリスク、交渉意欲の減退などを避けるためにもら買い手を強く交渉できる会社の状態が良好なうちに第三者承継を検討し、さらに言えば着手することが望ましい。
※第三者への譲渡が売り手にとってどのようにつながるか、M&Aを並行して検討すべき理由はなにかについての詳細は本書をご覧ください。

・本書では、「中小M&Aを成功に導く前提知識」「中小M&Aを成し遂げる13ステップ」「困難に直面する前にセカンドオピニオンを利用する」「良い仲介業者はどこにいるのか」という章で構成されており、「中小M&Aの正しい進め方と陥りやすい罠」「売り手が持つべき中小M&Aの心得」「頼れる仲介業者の見分け方」など、経営者が知っておきたい事業承継の実態と基礎知識が書かれた内容となっている。

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