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水野太貴(文)吉本ユータヌキ(イラスト)今井むつみ(監修・解説)「きょう、ゴリラをうえたよ 愉快で深いこどものいいまちがい集」

・本書は、出版社で編集者として勤務するかたわら、YouTube、Podcastチャンネル「ゆる言語学ラジオ」で話し手を務める著者が、「子どものいいまちがい」をネット上で広く募集し、1000を超える投稿から特に興味深かった80個を選りすぐり、短い解説を加えて、「ことばの本質に迫った1冊。
愉快で深い子どもの言い間違い集(一部)
2
(車を指して)「これは?」→「ぶーぶー」
(スマホを指して)「これは?」→「べいぺい」
・これは、QR決済が普及した、現代らしい話だ。しかし、この理屈で言うと、車が「ぶ」ぶー」と呼ばれなくなる時代も遠くないと著者は思ってしまったそう。
・今のハイブリッドカーやEVは発進音もとても静かで、ぶーぶー音を立てていないからだ。
・テクノロジーが進化すると、それに合わせて言葉も変化する。
13
「パパ、いらなかったよ!」
・家の中でかくれんぼをしていたときのこと。お母さんは見つけられたが、お父さんがなかなか見つからなかったとき、子どもはお母さんに嬉々としてこう報告したそう。
・それを物かげで聞いたお父さんは「捨てないでぇ」とひざから崩れ落ちたとのこと。
・動詞の活用というのは、日本語母語児にとっては大問題なこと。「居る」と「要る」は音的にはまったく同じだが、活用は異なる。
・ほかにも「切る」と「着る」なんかも、「切らない」「着ない」と異なる活用をする。
19
「ともだちのうちにあそびにくるね」
・実は「行く」と「来る」の違いは難しい。どちらも移動を指してはいるが、ポイントは「方向性」である。
・自分から見て遠くに移動するなら「行く」、近づくなら「来る」と使い分けている。なのでら「(自分が)ともだちの家に来る」はおかしく感じるわけだ。
※ところが、ややこしいことに、方言によって使われ方がビミョーに異なる。どの方言がややこしくしているのかについての詳細は、本書をお読みください。
・本書は、1歳から7歳の子どものいいまちがい80が著者の解説と共に紹介されている。子どものいいまちがいの例として、
15「は〜い、ピザもやしてきました〜」
24「ぼくは、こどもしいよ」
33「おかあさん、まずしい!」
44「くびしまり」
58「おなかのなかがはるになった」
69「えいごでじぶんのことマヨネーズっていうんだよ」
73「がっこうでまんぷくよことびした」
などが取り上げられている。
・子どもは大人が思うよりずっとお利口で、鋭い目で言語を学んでいく。まちがえてしまうのは、少ない情報をもとに頭をひねり、ルールを導き出すから。だからこそ、聞きなじみのない発言をしてしまうのだ。
パラパラと好きな箇所を読んでもよし、自分の子と年の近いところから読んでもよし。それから、「うちの子にもこんな時期があったな」などと感慨に浸るのもよしなど、どのような読み方をしてもよい。
子どもの爆笑のかんちがいを通じて、奥深すぎることばの世界を堪能されたい方は、ご一読ください。
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