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高木敏行、荒川哲「科学的論理思考のレッスン」

・本書は長年、大学や企業で研究や開発をおこなってきた大学教授である著者2名が、科学的で論理的な思考法である4種の推論法について紹介した1冊。

・本書で紹介している科学的論理思考とは、
①演繹理論
②帰納理論
③アブダクション
④データ科学推論
の4つである。

・科学的論理思考は、論理学の用語では「推論」と呼ばれる。推論は、根拠となる前提から新しい結論が導くということなので、その点では思考と同じだが、前提から結論を導く際に科学的・論理的方法論が使われる場合に、特に、推論と呼ばれる。

・推論は論証とも呼ばれており、前提、導出、結論のすべてを含む過程と説明される。この中の「導出」とはつまり、その文、句、語の接続関係を示すことである。科学的論理思考であるかどうか、というのは、この接続関係が科学的合理性を有しているものになっているかどうか、ということなのである。

4種の科学的論理思考について
①演繹理論
・演繹(えんえき)理論は、一般的、もしくは普遍的な前提から、より個別的な結論を得る推論の方法であり、
[前提]
・雨が降ると土が湿ることがわかっている。
・今は雨が降っている。
[結論]
・今、土は湿っているはずだ。
というふうに、わたしたちが普段無意識に用いている推論の方法で、前提が必ず成立するので、結論において情報が増えないのが特徴。

②帰納推論
・帰納(きのう)推論は、個別的な事例から一般的・普遍的法則を見いだそうとする推論の方法で、
[前提]
・一昨日、雨が降った後に観察を行うと、土が湿っていた。
・昨日も、雨が降った後に土が湿っていた
[結論]
・雨が降ると、土が湿るのではないだろうか。
と限られた事例から、結論として普遍的な法則を導くことが多い方法である。
(これを「不完全帰納推論」という)

③アブダクション
・アブダクションは、仮説形成法や仮説推論とも呼ばれ、観測された驚くべき事実を元に、飛躍的な説明となる仮説を立て、事実の説明を試みる推論。具体的には、
[驚くべき観察事実]
川沿いのロッジで星空の下、夕食をとり、そのままソファーで寝ていた。
気がつくとロッジが浸水している。
[飛躍した仮説]
上流にあるダムに決壊の兆候があり、
貯水した水の放流を開始した。
という「意外な事実の観察」→「意外な事実を解析する仮説が発案される」→「「もし仮説が真なら観察された事実は当然である」といえるならら仮説が真であると考え暫定的に選択する」という過程がアブダクションのなかで行われ、驚くべき観察事実と飛躍した仮説が特徴となる。
※ニュートンの「万有引力の法則」もアブダクションで説明できるが、詳細は本書をご覧ください。

④データ科学推論
・データ科学推論は、統計科学推論を中核とする推論法で、多くのデータからその背後にある事実や有用な情報を抽出する方法。
・統計科学推論とは、母集団(集団全体)から抽出された標本(母集団の情報を推測するために選ばれた一部の集団)に基づき、母集団における集団的特性値を引き出すための推論を指す。
・例として、国民全員のすべてについて支持政党を調べることができないので、コンピュータで無作為に数字を組み合わせて番号を作り、電話をかけて実施する調査などが相当する。

・本書では、「論理の基礎」「基本の推論」「統計学的論理思考の基礎とツール」という章で構成されており、「なぜ、「集合」と「論理」が思考と推論にとって重要であるのか?」「ロジカルシンキングやクリティカルシンキングの基礎となっている演繹理論・帰納理論・アブダクション・データ科学推論の基本と詳細」「やりがちな誤った推論」など、「何が真実かを見極めるための科学的で論理的な思考を身につけるための内容が収録されている。

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