吉田幸弘「結局、否定しない人ほどうまくいく」
・本書は、主に中間管理職向けに人材育成、チームビルディング、売上げ改善の方法をコーチングの手法を使ってコンサルティング活動を行なう著者が、「否定」をやめた感情のコントロール術、相手を否定しないための言葉の使い方、伝え方の方法を通じて、相手との信頼関係が深まるコツについて理解することを目的とした1冊。
・信頼関係を深めるコツは、「ほめる」よりも「否定しない」ことである。
・否定は「猛毒」のようなもの。それまで部下とのコミュニケーションに気をつかい「資産」を構築していても、たったひと言の「否定」で一気にマイナス、負債の関係になってしまう。
・お金であれば、負債を負っても、仕事などをして自分次第で取り戻せるが、部下との信頼関係はなかなか取り戻すことができない。それだけ「否定」は危険なのだ。
・ここ数年で、ビジネスシーンに浸透した言葉に「心理的安全性」がある。この心理的安全性を高めるためには、
①無知だと思われる不安
②無能だと思われる不安
③ネガティブだと思われる不安
④邪魔していると思われる不安
の4つを取り除くことが重要である。
・心理的安全性が高い職場では、
◇こんなことを聞いて無知だとバカにされないか
◇無能だと思われて評価を下げられないか
◇否定的な意見を言って大丈夫か
◇反対しても大丈夫か
という「発言への恐れ(不安)」が少ないため、失敗やミスの報告がしやすくなり、メンバー一人ひとりがその失敗から学び、改善していくことができるようになる。
・つまり、心理的安全性を高めることの重要性は、単に「遠慮や恐れがない状態で言い合える組織」をつくることではなく、その先の「学習する組織」をつくることにあるのだ。
・実際のところ、ハラスメントをする人は部下などに対する「否定的な発言が多い」傾向にある。また、近年はパワハラ防止の観点から「部下に厳しい上司は出世できない」という傾向も強まっている。
・このように、否定的な発言を繰り返している人は、チームやメンバーに対してだけでなく、自分自身にとっても、何もいいことがないのだ。
※本書では、チームの一人ひとりが不安や恐れを感じ、発言や質問、相談などをすることに尻込みする状態を避けるための「身につけたい7つの習慣」が紹介されているが、その詳細は本書をお読みください。
・本書は、「あなたは『否定モード』になっていませんか?」「否定しないコツは『〇〇』と『〇〇のコントロール』」「『否定しない人』のメンタル&コミュニケーション術」「信頼関係を深める『否定しない伝え方』実例集」という章で構成されており、
◇「できるリーダー」の基本法則とは
◇「〇〇?」は相手を追い詰める言葉
◇相手を傷つけない叱り方のコツ
◇ミスした人への伝え方
◇なかなか行動しない人への伝え方
◇落ち込んでいる人への伝え方
など、「否定しない」話し方と伝え方のコツについて42の事例等を交えて紹介した内容となっている。
「否定しない」話し方と伝え方は、一朝一夕でできるようになるものではありませんが、身につけたい方は、本書を読み、試行錯誤しながら、身につけていただけたら幸いです。
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