本間正人「グループ・コーチング入門」
・本書は、「教育学」を超える「学習学」と「最終学習歴の更新」を提唱する著者が、コーチングの手法のひとつである「グループ・コーチング」について解説した1冊。
・コーチングとは、課題を抱えた人と向き合い、その人の個性や持ち味に合わせた問いかけを通して可能性を引き出すもの。
・「グループ・コーチング」とは、複数の人たちを集めて行うもので、会社であれば、管理職が、一人の部下の課題解決を目的とし、同じ場に複数の部下を集めて語り合う。
・「グループ・コーチング」の特徴として、「開放性」を挙げることができる。コーチングは通常、一人対一人であり、この場合、当事者である二人が別室に入っている間、ほかのメンバーは残される。そのとき、残ったメンバーにとって「あの二人、何を話しているのだろう」と不安に思うケースが、意外に多いようだ。
・「グループ・コーチング」には、このような密室性はない。ひとつの課題をオープンに話し合い、「君はどう思う?」「どんなアイデアがあるかな?」などと意見を引き出したり、「君だったら、彼に何を聞きたい?」とメンバーの一人に問いかけて一時的にコーチ役を任せたり、といったコミュニケーションが「グループ・コーチング」で可能となる。
・「グループ・コーチング」がもたらすメリットとして、
①集団の力を引き出し、高める
②コーチング・スキルの伝授
③時間の有効活用
④衆知を高める
がある。
※メリットの詳細については、本書をお読みください。
・「グループ・コーチング」の注意点として、
①プライベートな話題、対立、孤立に気をつける
②責任の所在は明確に
③「引っ込みがつかない」メンバーに注意する
④長すぎるミーティングは逆効果
が挙げられている。
・複数で話すことによって、知識の共有、脳の活性化など、さまざまな相乗効果が生まれることがグループ・コーチングのメリットであるが、それと同時に、そのことが悪い方向へと作用することもある。
・たとえば、メンバー同士の対立が起こったり、一人のメンバーをみんなが責める態勢に入ってしまう、メンバーが抱えるプライベートな悩みを、みんなの前で話さざるを得ない状況になってしまう、などがある。
・この流れを放っておくと、話し合いのあとには気まずさや後悔しか残らない。傷が広がらないうちに、すばやく話題を切り替えることが大切である。
※これらの困った事態の収拾・解決方法ならびに①〜④の詳細は本書をご覧ください。
・本書では、「グループ・コーチングの基本」「グループ・コーチングの具体的な進め方」「傾聴・観察・承認のスキル」「質問のスキル」「ケーススタディ」という章で構成されており、「グループ・コーチングの概要・意義・注意点などの紹介」「アプローチの方法やテクニック」「グループ・コーチングのQ&A(基本的な条件、環境について・メンバーの選び方・最大何人まで可能か?・空気が凍りついた場合の対処法など)」といった、チームの一体感を高める対話術である「グループ・コーチング」を事例を交えて丁寧に解説した内容となっている。
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