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湊隆幸「人生のリアルオプション」

・本書は、国内外の大学の非常勤講師をする傍ら、フリーランスとして、自分の興味のあることを続けている著者が、仕事と投資と人生の意思決定論の入門書として書いた1冊。

・リアルオプション=不確実な状況での意思決定のことで、オプション(権利)を現実の(リアル)な意思決定に用いるときこの言葉を言う。

108の意思決定のはなし(一部)

1 満点の星
・意思決定は、先がどうなるかわからない夜明け前に行うときにむずかしい。しかし、夜の底がしろくなれば、現実の世界が見えてくる。もしも晴れれば幸運であるが、雨が降れば、もう一日待ってもいい。船を漕ぎ出すのは、最後の手段としてのギャンブルだ。
(木曽路はすべて山の中である。」(島崎藤村「夜明け前」)
・不確実な状況下で何かを急いで決めても、現実がどうなるかはわからない。あてもなく行動すれば、それは失敗というリスクを即座にかかえこむことになる。
・待つことは「情報の価値」によって裏付けられる。では、情報の価値はどのようにして測られるのか?日常の意思決定では直感的に決めるのでもかまわないが、実社会で応用するためには、もう少し理解を深めておくこと。

4 柔よく剛を制す
・人は、山の頂上を目指すように目標に向かう「邁進タイプ」とあるがままに流されて生きるような「漂流タイプ」の二種類に大きく分けられる。
・邁進タイプの行動は主体的に見えるが、考え方としては固定的である。なぜなら、なかなか自分の考えや価値観から抜け出しにくい。
・一方、漂流タイプは、大きな枠組みや方向性の中で、そのつどの情報や新しいアイデアをうまく織り込みながら、状況に応じて柔軟に行動する、というものであり、主体性や価値観がないわけではない。
・ある目標を掲げてそれを達成できたとしても、そこが終着点ではない。もしもその次が描けていないとしたら、道に迷う可能性がある。漂流タイプが邁進タイプと違うのは、考え方が柔軟だという点である。だから、一回きりの成功や失敗で終わるのではなく、それを繰り返しながら、段階的に成長していく。
・不確実な世の中では、ものごとは自分が思うようには進まないものなのである。
※「あるがままに流される」には二種類あるが、詳細は本書をお読みください。また、表紙に書かれている「明日できることは今日やるな」の意味がこの項目に書かれている。

・本書では、「明日できることを今日やるな」「欲の最大化より後悔の最小化」「リアルオプションの理論と実践」という章で構成されており、「不確実であれば、ものごとを今決める必要はない。」「夢や目的があっても、重要なのは手段だ」「チャンスとリスクは表裏一体」「ギャンブルに偶然はない」など、著者が学生たちと語り合った108の意思決定のお話が収録された内容となっている。

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