見出し画像

木谷哲夫「イノベーション全史」

・本書は、京都大学でテクノロジー商業化、起業家育成方法、エコシステムについての研究と、全学アントレプレナーシップ教育プログラムの開発・実施に従事する著者が、時代ごとの意味の変換、イノベーションのメカニズムを解説した1冊。

・イノベーションは、エミュレーション(模倣)とディフュージョン(普及)のサイクルで起こるもの。どのようなジャンルのイノベーションであっても、エミュレーションとディフュージョンのサイクルが重層的に連続して起こることで初めて、社会が大きく変わる。
・日本の高度成長期はまさに、エミュレーションとディフュージョンのサイクルが爆速で回った時代と言える。
・イノベーションとは科学的な発見をすることでも、はつめいすることでも、アイデアを発送することでも、会社を興すことでもない。新しいものを世の中に普及させ、コストを下げて実用化し、需要を呼び覚まし、大きな利潤を創出し、多くの人の生活を変え、社会の価値観を変え、大きな投資機会を創出することである。
・したがって、イノベーションを構成する「新しさ」と「普及」のそれぞれで、担い手は異なる。
・「新しさ」を担うのは科学者や発明家だが、「普及」を担うのはアントレプレナーということになる。
※アントレプレナーの詳細(重要性など)については、本書をお読みください。

・イノベーションは最近まで前向きな意味を持つ言葉ではなく、イノベーター(イノベーションを起こす人)は、社会の敵(犯罪者など)ととらえられていたこともある。
・日本に限らず、海外でもイノベーションは危険視する考えは存在している。具体的には、神の秩序を壊す危険性のものであり、暴力的、突然、反抗的、自然でない、などといったマイナスイメージで観念されていた。
・そうしたマイナスイメージの根源は、イノベーションに内在する不確実性であり、その担い手であるアントレプレナーが持つ、伝統社会の価値観とは異なる、ある種の異端性にもあったと考えられる。
・不確実性の高い新事業では、始める前には前例も何もなく、正当な理由付けをもって始めることはできない。そのような状態で新たな機会にかけ「オールイン」できるような衝動的な動機付け、強い思い込みを持っていることがアントレプレナーの資質として最重要である。
・これを「アニマルスピリッツ」(経済主体の自発的な楽観主義)と呼び、不確実性の中で、経済行動を駆り立てる動機であり、一種の直感的な欲求や感情である。
※日本や海外がどのようにイノベーションを禁止し、危惧したかの詳細は、本書をお読みください。

・本書は、「イノベーション『前史』」「特別な世紀 アメリカン・システム」「大企業病 オーガニゼーション・マン」「資本主義のオリンピック」「ソフトウエアが世界を食い尽くす」「『超』イノベーションの未来」という6部で構成されており、
◇農業・産業・医療などのイノベーションの事例
◇17世紀から21世紀にかけてのイノベーションの歴史
◇著者が独断と偏見で選んだ「超」イノベーション10選
など、これまでに起こったイノベーションを通じて、イノベーションの真価について解説した内容となっている。
また、これからの時代を創る必読書14冊も紹介されている。
世の中にイノベーションを起こしたい方、イノベーションに興味関心のある方はぜひご一読ください。
※本日(3/27)発売の本です!

#瞬読アウトプット #1分書評 #BOWBOOKS #イノベーション #innovation
Amazonはこちら
https://amzn.to/43uSClu

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?