みの「にほんのうた 音曲と楽器と芸能にまつわる邦楽通史」
・本書は、チャンネル登録者数43万人を超えるYouTubeチャンネルを運営し、音楽評論家、ミュージシャン、ラジオDJとして活躍する著者が、縄文時代から平成時代に至るまでの邦楽について著者の視点から解釈した1冊。
・教科書に当たり前のように載っている五線譜は、ヨーロッパで十七世紀以降に完成し、世界に広がった音楽の記録方法である。
・「音楽」という言葉は、日本では近代以降に一般的に使われるようになった。
・平安時代には、「音」は歌声を、「楽」は楽器の音を指すことはあったが、特に宮中や寺院で演奏されるものを意味し、鎌倉、室町時代を通して「音楽」は中国由来の「楽」である「雅楽」の同義語として少しずつ定着する。
・明治時代の初期に至っても、宮内庁は「音楽」を雅楽の意に限定して用いていたが、明治十二(1879)年に文科省によって音楽取調掛(おんがくとりしらべがかり)が設置されると、「音楽」はあらゆる音楽活動を指すようになる。
・このように、日本の音楽の名称は、明治を境に変貌している。明治以降、近代化を目指す社会のなかで、音楽もほかの分野と違わず欧米の文化や技術などを取り入れてきた。
・大正末期以降、「音曲」をはじめとする日本在来の音楽にあたるものは、「洋楽」に対する語として「和楽」「邦楽」という言葉が一般化する。
・第二次世界大戦後になると、それまでの和楽ら邦楽は「伝統音楽」「日本音楽」と称される。
・一方で「邦楽」は「洋楽(ポップス全般)」に対する言葉として使われるようになる。
※本書では明治時代以降の大衆音楽の歴史を紐解くだけでなく、江戸時代末期までの日本の音楽についても辿っているが、詳細は本書をお読みください。
・昭和から平成へと時代が移り変わるその最中で、新興FMラジオ局だったJ-WAVEは自局でかける邦楽の呼称を検討し始めており、歌謡要素を取り除いた限りなく洋楽に近い音楽、より洋楽志向の強いミュージシャンの楽曲のみを取り上げることになった。
・具体的には、サザンオールスターズ、松任谷由美、山下達郎といったミュージシャンの楽曲がオンエアされることになる。
・この選別にはらミュージシャンによる歌謡要素の自覚の度合いもバロメーターとなっていた。
・つまり、自分たちが選び、オンエアに乗せる邦楽は"J-POP"であるとしたのだ。J-POPは邦楽シーンから、演歌をはじめとする歌謡要素の強い楽曲を排除し、洋楽志向の強い音楽を抽出した。
・J-POPという言葉がラジオ局の一室で生まれた頃、日本は「バブル景気」の最盛期だった。バブル景気では、株価の急上昇、また個人資産なども増大し、社会全体が今までにない好景気に見舞われた。日本の音楽市場は、このバブル景気より少し遅れてら昭和六三(1988)年からの十〇年間で約二倍の急成長を遂げる。
※この急成長の要因として、「CD(コンパクトディスク)の登場」が挙げられるが、詳細は本書をお読みください。
・本書は、「日本音楽の原風景」という序章から始まり、「押し寄せた西欧化の波」「民衆の豊かな音楽」「レコード歌謡」「エロと戦争」「上を向いて歩こう」「テケテケから始まる新たな邦楽の息吹」「J-POPと"日本のポップス"のゆくえ」という章で構成されており、
◇にほんのうたで、政治で生まれた理由
◇「君が代」作曲の背景
◇明治時代の会いに行けるアイドルとオタク
◇昭和時代に起こった関西で盛り上がるジャスの波
◇戦後最初のヒット曲「リンゴの唄」とは
◇日本ロックはどこから始まったのか
◇"アーティスト化"する平成の歌手たち
◇独自の人気を形成していく音楽ジャンル(ヴィジュアル系・渋谷系など)
◇ゲーム音楽の誕生と発展
◇ボーカロイドが日本の音楽にもたらしたもの
など、縄文時代から平成までの音楽の歴史を通じて、日本の音楽がどのように変化していき、世の中に影響を与えたかなど、著者の視点から解説した邦楽史が収録された内容となっている。
・また、本書の冒頭には「にほんのうた一〇〇選」という縄文時代のサウンドや民謡、歌謡曲、演歌、J-POP、ゲーム音楽など幅広いジャンルのアルバムが紹介されたものが収録されている。
日本の音楽がどのように変化していったのかについて本書を通じて知ることがてきます。また、今の音楽やこれまでにリリースされた楽曲について興味を持つきっかけとなりますので、特集の「にほんのうた一〇〇選」や本書で取り上げられているアーティストの音楽をサブスクリプション配信で聴きながら、本書を読むことをお勧めします。
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