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私とmoonとラブデリック

ついにこのタイトルでnoteを書く時が来てしまった。
何故この記事を書こうとしたか?
2024年12月26日に、「moon」開発スタッフが手掛ける「ストレイチルドレン」が発売されたからである。
私はこのゲームの発売を心待ちにしており、「ストレイチルドレンをプレイできたらもはや人生に思い残すことはない」とまで思っていた。

嘘です、自分の会社のこととかやり残したことは色々あります。

「ストレイチルドレン」に関するレビューを真面目にやりたいと考えており、その前に自分と「ラブデリック」の出会いについて書かなければならないと思ったのでこうやって筆を取っている。


「ラブデリック」って何?

「ラブデリック系」と呼ばれるゲームの存在を耳にしたことはないだろうか?

LOVEdeLICは元スクウェア(現スクウェアエニックス)社員である西健一氏が中心となって設立された会社だ。
「moon」、「UFO -A day in the life-」 、「L.O.L. 〜LACK OF LOVE〜」という3本のゲームを開発したあと解散した。
その後開発メンバーが細分化され、「スキップ」(後の「パンチライン」)、「Vanpool」を設立し、「LOVEdeLIC」の作品傾向を脈々と受け継ぎ、いくつかのタイトルが発売された。
有名なタイトルだと「ちびロボ!」シリーズ、「ギフトピア」、「もぎたてチンクル」シリーズあたりだろう。
「ラブデリック系」ではないが実況等で有名になった「RULE of ROSE」もパンチラインの作品だ。

じゃあ「ラブデリック系」ってなんなの?という疑問が残るとは思うが、特徴としては

・ラブデリックにいた(いる)開発スタッフが関わっている
・戦闘が主ではない、または重要ではない
・可愛いキャラクターデザインに反して社会風刺やブラックユーモアが多い
・「ハナモゲラ語」と呼ばれる独特の言語で喋る

というのが挙げられる。

この何とも不思議なゲームに私が出会ったのは1998年のことだった。
初めてプレイしたのは「moon」だった。

「moon」との出会い

「moon」は発売初年度の1997年に一度友人に勧められていたのだが、その時はいかにヴァンパイアセイヴァーの対戦台で連勝するか、ということにしか興味がなかったのでスルーしてしまった。
1年後、別の友人に「いいからやってみろ」と言われてPSのソフトごと貸してもらいプレイしたのが始まりだ。
当時はインターネットが一般家庭にあまり普及してなかった時代なので情報源も限られているし、「知る人ぞ知る」な「moon」というゲームを計2人の人間に勧められる環境に自分がいたことに感謝するしかない。

「インターネットが一般家庭に普及していない」ということは、何の前情報もなくプレイできたことも幸運といっていいだろう。

一部、前の記事で書いたことの繰り返しにはなるが、初めてプレイした時は本当に衝撃だった。
まず始まるファミコンのような画面の「いかにも」なRPG。
それをクリアすると飛んでくる「早く寝なさい」というお母さんの叱る声。

その後オープニングでプレイしたゲームの中に入ってしまう主人公。
しかし、主人公はそのゲームの勇者ではない。
ゲーム内の勇者はモンスターを虐殺し、他人の家を勝手に漁ることで悪名が高く、主人公はその勇者の所業を修正してゆくのだ。
大まかにいうと勇者の殺したモンスター達を生き返らせてゆく。

個人的に一番心にきたのは初期のホームポイントであるおばあちゃんの家だ。
一軒家におばあちゃんが1人で住んでいるのだが、このおばあちゃん、実は勇者の祖母なのだ。
目が見えないので主人公が来ると勇者が久しぶりに帰ってきたと大喜びする。

ここではっとさせられるのが、一般的なRPGは自宅からスタートしても、自宅に戻ることはほとんどないということ。
そう、勇者は旅に出たまま一回も帰ってきていない。
そんなことを思いながら初期はこのおばあちゃんの家をかなりの回数行ったり来たりする。
すると、勇者の代わりにおばあちゃんの側に居てあげたいという気持ちがかなり強くなる。

全て書くとネタバレなってしまうので控えておくがmoonは難易度が高い。
テクニック的な難易度ではなく、いわゆるちょっと理不尽な謎解き要素が多い。
かくいう私も攻略サイトというものが存在しなかった当時、擦り切れるほど攻略本を読みながらクリアした。

難しい部分はあるものの、クリアする価値は確実にあると思うので興味のある方は是非プレイしてほしい。
特にUNDERTALEを制作するにあたってToby氏が影響を受けたゲームのひとつであるのでお好きな方には是非オススメしたい。

こうしてラブデリックを愛した

『moon』に衝撃を受けた私は『UFO -A day in the life-』→『L.O.L. 〜LACK OF LOVE〜』と順調にプレイすることになる。
この3つをプレイしたことで私のゲームへの価値観は大きく変わってしまった。
ラブデリック大好きオタクの誕生である。

 個人的イチオシの「ラブデリック」系(RULE of ROSEは違うけど)
UFOもリメイクしないかな?

「ラブデリック系」のゲームはどれも思い出深く、特に「ちびロボ!」(無印)に関しては心をめちゃくちゃにされたが、語るととんでもなく長くなってしまうので割愛する。
「ちびロボ!」は当時ラブデリック系に興味のなかった家族や友人も勧めるとプレイしてくれて、嬉しかった思い出と共に輝いている。

「moon」に関しては私がプレイした1999年から、NintendoSwitchでリメイクされるまでの2019年の間何も動きがなかったわけではない。
以下、個人的な「moon」に関する事件を箇条書きで書いてみる。

・2000年くらい
ユーザーが「こういう商品を作ってくれ!」とリクエストをして、一定数賛同者が集まれば運営側が企業に売り込んでくれる、「たのみこむ」というサイトにmoonのサントラ復刻の署名が集まっていた。
まだ世の中にクラウドファンディングというものが存在しなかった時代である。

実はmoonはBGMにも特徴のあるゲームだ。
「MD」と呼ばれるアイテムを手に入れるたび楽曲が増え、自分の好きなMDをかけることでフィールドのBGMを設定できるのだ。
ちなみに私は「くつしたの穴」という曲がめちゃくちゃ好きで、最初から最後までフィールド曲を「くつしたの穴」にしていたのだが、後にこの曲を作った「あすなろボーイズ」というグループが、植松伸夫氏(FFの)と光田康典氏(クロノトリガーの)のユニットだったと知った時にはひっくり返った思い出がある。

話は大きく逸れたが、かくいう私も「たのみこむ」に署名をして、2002年にサントラ復刻が実現した。


サントラ復刻当初、ストーリーにおいて重要な楽曲「KERA-MA-GO」等を作ったセロニアス・モンキースからもらったサインは今でも宝物だ。
※セロニアス・モンキースは元コナミの作曲家である谷口博史氏、安達昌宣氏、工藤太郎氏の三名から構成されるユニット

・2006年
olio musicというサイトでサントラがDL販売される。すげえ。持ってるのに何故か買っちゃう

・2007年〜
2006年にニコニコ動画ができ、moonの実況動画を上げる配信者が現れる。
当時moon初見の実況を数えきれないほど見て、配信者がクリアするたびに感動したり泣いたりしていた。

・2012年くらい?(はっきりしてなくてすみません)
ラブデリック→スキップ→パンチラインを経て木村祥朗氏が「Onion Games」を設立。
倉島一幸氏がデザインを手がけた「ラブデリック」系なゲーム「勇者ヤマダくん」、「Million Onion Hotel」等発売。
ラブデリックのオアシスだ〜〜!!浴びろ浴びろ〜ー!!

・2015年
9月15日に「UNDERTALE」がPC用ソフトで発売される。
自分の誕生日が9月17日なのでこの時のことを何故か鮮明に覚えている。
当時Twitter(現X)でmoonが好きなフォロワーが「UNDERTALE」を絶賛しており、全力でオススメもされたが、英語力ゼロの私は手を出すことができなかった………。
しばらくして有志による日本語化パッチが出たのですぐにプレイ。
様々なゲームからの影響を受けていると感じたが、特にmoonに対するリスペクトや愛を感じて感動。EDで号泣。
エンディングまで、泣くんじゃない。

・2019年
「Onion Games」からmoonのリメイクがSwitchで出ると発表される。
驚いたと同時に「来るべき時が来たか」という妙な納得感があった。
もちろん買った。

・2020年
またmoonのサントラが復刻しますよ〜〜!!
そうだね、リメイクも出たから、サントラも復刻した方がいいね。
凪のような心で買った。
同年に「Onion Games」が完全新作RPGを制作していると発表(後のストレイチルドレン)これはやるまで死ねない。

・2022年
「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」が発売される。
「UNDERTALE」作者、TobyFoxが多数楽曲を提供しているということで、「XY」以来久しぶりにポケモンシリーズをプレイ。
初期の頃に遭遇した野生のテラスタルにて「ボチ」というポケモンをゲットする。
「おばけいぬポケモン」という設定を見た時、当時年寄りの猫を飼っていた私は胸にくるものがあり、スタメンにした。
人懐っこい性格ということは、元々人間に可愛がられて飼われていて、寿命で死んじゃったんだろうなあ………
ティム・バートン監督の映画「フランケンウィニー」を思い出した。
その後、ボチをスタメンにゴースト統一パーティでSVをクリアする。
進化後の「ハカドッグ」のデザインも秀逸で、強さも申し分ない。

もちろんDLCまでスタメンでした

同年12月18日
moonやラブデリックのゲームキャラクターデザインを担当している倉島一幸氏が「ボチ」のデザインを担当したと発表される。
倉島氏がデザインしたボチ………「墓地」とボチをかけたセンス………
Toby氏の楽曲………
全ては運命の輪の中に………………


ありがとう


ありがとう

・2024年12月26日
「moon」開発スタッフが手掛ける「ストレイチルドレン」が発売される


もっと細かく書くと色々あったが、大まかな「moon」に関する超個人的な事件は以上である。
「ラブデリック」系のゲームが素晴らしいということが伝わったならこれ以上の喜びはない。

現在「ストレイチルドレン」をプレイ中であるが、様々なことにびっくりしたりひっくり返ったりしている。
ひっくり返ってびっくりしたりもしている。
とにかく素晴らしいゲームであることは間違いない(でも戦闘がちょっと難しい)
クリアしたらまた記事にしよう。
それまでまた!

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