長男、計画がたてられない
(2021年2月7日 「カサンドラ・デイズ」投稿)
『あれ?長男は計画がたてられない??』
…そう思ったのは長男が中学二年生のときでした。
学校から配られた定期テストの学習計画表プリントを前にして、さあ計画しましょう、となったとき、本人は「こんなものが何の役に立つ?」といった表情で、まったく取り組もうとしないのです。
このころ長男は水泳の練習もピークで、とても頑張っていたので、私もそれを応援しつつ、定期テストが近くなると家庭教師代わりになって一緒に勉強していました。
私は長男が学習計画表に慣れていないのかと思い、説明しました。
「あなたの場合は水泳の予定をまず先に書いてから、そのほかの時間を使って計画を立てるといいよ。時間が少ないからテスト範囲をよく見て、抜けがないようにね。コツとしては、英語や数学を先にやっておいて、理科や社会は直前でもいいと思うよ」
しかし長男はこういうのです。
「その日その日で頑張るよ。それじゃダメなの?」
声には出せなかったけど “えええ?” と思いました。
希望する高校に行きたくないの?
行きたいなら今からしっかりやっていくべきなのでは?
水泳と両立は大変だけど、だからこそ計画が大事なのでは?
計画表も書かずに頭の中だけでやれるほどではないし…
面倒なのかな??
私は言いました。
「…うん、もちろん頑張っていくんだけど、テストの日までにいちおうテスト範囲は全部見ておく必要があるでしょう。“頑張ったけど間に合いませんでしたー” では困るから。その日その日でどこまで進めておかなければならないかという見通しを立てておくんだよ。そのための計画表だよ」
どう伝えればいいのかわからなかったけど、とにかく計画することの大切さを話したつもりでした。
しかし長男はハテナ?という顔をして、やはり「こんなもの要らない」と言うのです。
私は途方にくれました。
結局、いちおうの計画を書いて学校には提出しましたが、長男自身がこの計画表に積極的に取り組むことは最後までありませんでした。
私は不思議さと心配で胸がいっぱいでした。
なぜ計画表を書こうとしないのだろう?
自分で必要だと感じないのだろうか?
実行できなかったときに怒られるのが嫌なんだろうか?
私は今までそんなことを長男に対して問い詰めてきただろうか?
私にはそのつもりがなくても本人にはそう感じられていたのだろうか?
あるいは計画そのものが嫌なんだろうか?
自由にやりたいことをやるスタンスにしたいのだろうか?
ただそれをこのプリントに書くのは難しいよね…先生はなんというだろうか
それでもテスト範囲は把握しとかないとやっぱり厳しいよね…
全部さらってない状態でテストを受けるのは不安じゃないのかな?
私はぐるぐると考えていたけれど、この中に答えはありませんでした。
それはただ「逆算ができない」という特性のせいだったと今はわかりました。
つまり、日程をさかのぼった計画(逆算)を考えるのがとても苦手、ということです。
そのことを知ってさえいれば長男のこの反応はとてもわかりやすいもので、私も悩む必要はなかったのに、発達障害やASDの知識がまったくなかった私は、何とかして長男に取り組ませようとあの手この手で迫りました。
数学を普通に理解できる子がただ日程をさかのぼることができない、なんて、そのときの私にはまったく想像すらできなかったのです。
本人もそんな私の存在はとても苦痛だっただろうなと思います。