淡々と自分の生活を送る夫
(2021年2月1日 「カサンドラ・デイズ」投稿)
14年続くワンオペ育児で私がヘトヘトになっていたころ元夫はといえば。
淡々と自分の生活を送っていました。
元夫の生活は春夏秋冬変わりません。
朝は誰も起きていない早い時間に起き、シャワーをあびて、ごみの日はゴミ袋の口を結んで外に出し、静かにドアをあけて出社する。
夜は、家族が寝静まった0時過ぎにカギを開けて静かに家に入り、ひとりでテレビやパソコンを少し見たあと、そっと布団に入って眠る。
…そんな生活でした。
「それの何がいけないのか、むしろ立派じゃないか」と言いたくなる方もいるかもしれません。
確かに、休まず仕事に行き、給料は妻にすべて預け、妻のすることに文句は言わず、食事は外で摂り、自分の洗濯は自分でする。
徹底していました。
私は夫の生活に関しては負担の少ない妻だったと思います。
ただ、元夫は
「家族と話す」ということがありませんでした。
時間がすれ違っていたこともありますが、たまに私が起きていて子供のことなどを話しても、
「……で?だから何…?その話は今じゃないとダメなの?オレいま疲れてるんだけど。」
と不機嫌な様子で返してくるのでした。
そう言われてしまうと、私もそれ以上話す気にはなれず『じゃ…いいや』と引き下がる。
後日、話の続きを聞いてくれるかな、と思っても、そこは何事もなかったかのようにスルーされてしまう。
そうなると私も、もうヘトヘトの状態でわざわざ会話しなくてもいいや… と思うようになっていました。
休みの日は元夫も家にいることが多かったのですが、やはり定刻に起きて散歩したあとは、ほぼ一日中自分のパソコンの前に座り、ときどきリビングに降りてきてお決まりのテレビ番組を見ては、また自分のパソコンの席に戻っていく。
無言で。
唯一、日曜日の夕飯時だけは珍しく家族がそろいましたが、そんなときでも元夫は名前を呼ばれてはじめて階下に降りてきて、席につき、食事に向かって「いただきます」を言って、テレビを見ながら完食し、また皿に向かって「ごちそうさま」を言って、食器を流しに運んだらすぐにパソコンの前に戻っていく。
そんな生活だったのです。
自分のことを話すこともなければ、子供たちの様子を聞くこともないのです。
そして月曜になればまた淡々と起きて、会社に行く。
ただ、ひたすらその繰り返しでした。