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天体の回転について/小林泰三 読了

2020.12.16 読了

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■この本を選んだ理由

先月の訃報に、本棚に眠っていた本書を取り出した。
2010年に購入した際は、当時SFを読みたかったというのと、言わずと知れた初音ミクのKEI氏による表紙にひかれていたが、億劫になっていて読んでいなかった。

■読んでみて

小林泰三氏といえばホラーというイメージがあったのだけれど、あまりそういう描写がなく、むしろSFとして純粋に楽しめた。

表題の天体の回転については、妖怪とか森とかの表現に、お、これは叙述トリックだな、とミステリー脳全開で読んでいたけど、普通にSFで、読み方を変えないといけないなと思った。
これが最初の一本になっていたよかった。

灰色の車輪も、ミステリーのような、オチが気になり、ぐんぐん読み進められた。
SFという難しい部分を無視しても楽しめるんじゃないか。

あの日が特にお気に入りかも。
現実に精神安定剤で不安が消し飛ぶという脳内の科学反応なんかを見ていると、結局精神や魂とは何なのか、という気分になる。
自分の記憶が正しいという保証もないけど。

お気に入りは、灰色の車輪、あの日、盗まれた昨日かな。

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