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東京サイコデミックをプレイした ネタバレあり

はじめに

正式名称は『東京サイコデミック 公安調査庁特別事象科学情報分析室 特殊捜査事件簿』です。とても長いです。
本作は『東京魔人學園伝奇』シリーズの今井秋芳さんが脚本・演出を担当されているとのこと。どことなく似たレトロな雰囲気があり、青春時代にプレイした『東京魔人學園外法帖』を思い出し、これはやらねばということで、PS4版を購入。20時間程でクリアしました。

感想としては、おもしろかったけど…という、はっきり「おもしろかった!」とも「つまらんかった!」ともどちらとも言い難いです。
某通販サイトでは現時点で★3となっており、2024/5/30発売で、元々昨今のゲームにしてはお手頃価格だったにも関わらず、さらにお求めやすいお値段になってしまっています。
まぁ、分かります。私も★を付けるのであれば、3.5は付けても、4は付けません。

地味な作業をおもしろいと感じるか否か

本作では毎話発生する怪奇現象に関する写真・動画・音声、はたまた、細かな文字がびっしり詰まった資料を確認し、真相を解き明かしていきます。

つまづくと同じ動画や音声を何度も何度も確認することになり、中には確認の必要がないものも含まれているので、非常に不毛な時間を過ごすことになります。操作性も悪いというか、独特なので、イライラすることもしばしば。
時々散歩もできますが、基本的に主人公は部屋に缶詰めなので、調査につまったときの気分転換は猫に缶詰め()をあげることとパートナーの秋葉とのおしゃべりのみ。缶詰めを開けると必ず猫が食べに来てくれるので、ひたすら己の気分転換のために缶詰めを開けることもありました。

真相に辿りついた後は、アンケート形式の報告書に自分が思った回答を記入し、その報告書を法務省の杵島に発送。
推理が当たりともハズレとも、明確に言ってもらえず、当たってても淡々と流れるニュース(実写です。よくできています)から「あ、当たってたんや」と安堵と嬉しさの中にちょっぴりの虚しさを感じつつ、EDムービーを観ることに。
本作には推理ゲームによくある真相解明の爽快感はありませんが、プレイ中に5回程エラーでPS4が落ちたので、謎のドキドキ感はあります。特にこの報告の発送時にエラーになりがち。PS4のゲームでこんなにエラーになったのは初めてでした。

一部キャラクターの存在意義が分からない

まず、主人公。性別も他キャラクターの名前も不明なまま、とりあえず名前を付けることを求められます。(脚本家から男主人公固定なんだろうなとは思いましたが)
一応、何時間かお世話になると思うので、それなりに真剣に名付けますが、最初から最後まで主人公の影が薄すぎて、「主人公は必要なんか?」と思うレベル。性別は男で確定っぽいけれど(誰かに'彼'と呼称された気がする)、姿かたちも分からず、しゃべることもせず、大事なことは全て秋葉がしゃべります。
秋葉とは常に行動を供にしているため、主人公が必要な理由がさっぱり分かりません。秋葉が主人公でええんちゃうんって思います。

さらに、主人公の調査には杵島を除くと3人の協力者がいますが、プログラマーのMechanicが有能過ぎて他キャラクターの存在意義が迷子。
Mechanicは政府の機密情報にいとも簡単にハッキングでき、事務所の機械への便利機能のアップデートまで瞬時に行え、検索能力もずば抜けて高いという本作のドラえ●ん。
調査が行き詰まると「じゃあ専門家の○○に聞こう」となるものの、医者のBartenderと巫女のOddに頼ることがそこまでなく、頼ったとしても「それってMechanicでも拾ってこれた情報じゃね?」と思うこと多々。
特にOddはオカルト専門で、3人の中で1番影が薄いです。たぶん頼った回数は10回もなかった気がします。

メインキャラクターっぽい紹介をされている所長の岩井さんも驚くほど登場回数が少なく、本作は秋葉と杵島とMechanicと猫だけで進行になんら影響は出ないと思います。

ちなみに、Mechanicは政府の機密情報にハッキングを仕掛けまくるとんでもないやつですが、彼が逮捕される危険を冒してまで、主人公に協力する理由は最後まで分かりません。BartenderとOddも協力する理由は分かりません。(Oddは散歩で会っていないので理由を聞き逃しているかもしれません)
近場に住んでいるっぽいのに、わざわざビデオ通話で顔を晒しながらやり取りし、コードネームはあるものの本名はふつうに主人公たちに知られているという状況。彼の目的は何なんでしょうか。主人公たちに裏切られたら人生終わりなんですが。

私の好みだけの話をすると逆がよかった

真相の盛大なネタ晴らしをしているため、嫌な方は回れ右です。

前述のとおり、本作では怪奇現象の真相を科学で証明します。
ただ、秋葉は異能力者を追っており、異能力者が関わっている可能性がある事件を「いやいやいや、この方法を使えば人でも可能だよ」と証明していくわけです。
そんな解明を4話まで繰り返しますが、最後の5話で「やっぱり異能力者は存在する!全て異能力者の犯行だったのだ!」となります。
その衝撃の事実に主人公たちは驚くわけですが。

いや、逆がよくない?

今まで人でも犯行可能だと証明してきたのに、実は異能力者が心を操っていたり、自分から発火したりしていました、とは。これいかに。

私の勘違いでなければ、某ゲーム情報誌に実際に動画を撮り、犯行が可能なことを確認したと記載されていた気がしますが、そこまで力を入れたのであれば、「異能力者のしわざだ!」→「実はただの人の犯行だった!」の方にしませんか。
異能力者もいるけれど、今回の怪奇現象と異能力者は関係なく、異能力者よりヤバいやつがいたって方が燃えませんか、ね。

というわけで、本作は5話から俄然SF色が強くなり、主人公たちが今までやってきたことの意義が分からなくなります。
短絡的なじじいショタ異能力者(何で彼だけ属性盛りもりなの)の突然の登場といい、総理大臣から最後に吹っ掛けれられる謎解きの適当さといい、5話あたりから製作者のやる気がなくなってしまったと思うのは私だけでしょうか。
本作はシナリオによっては化けたと思うので、すごい、惜しいです。

おわりに

こだわりが感じられるレトロなUI、カセットテープのカチャッジーという音、何度も何度も同じ動画・音声を確認する地味な作業、どれも味な体験でした。

私の思い出では『東京魔人學園伝奇』シリーズはOPムービー、EDムービーが毎話流れ、12話くらいで構成されていました。アニメか何かを意識して作られていたから、だったと思います。
本作もOPムービー、EDムービーが毎話で流れていたので、当初は12話くらいで構成したかったのかもしれません。終わり方が尻切れトンボ過ぎるので、大人の事情で5話までしか作れなかったのではと、勝手に邪推しています。

続編が発売されたら買うと思いますが、この評判では難しいだろうと既に諦めモード。
懐かしくも挑戦的な良い作品でした。

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