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タイ,どアップ!

2024/12/9(月) AM10:51記 

金曜日の妻は,年末の会合で夜不在。

金妻のようにパティオで会食しているのだろうか。

そんなハイカラな場所が,我々の住む田舎にあろうはずもないが。


娘も息子も思い思いの時間を過ごしていた。

木偶の坊の私に色々要望したところで,期待外れの実力不足ということを重々承知しているらしい。

「なめてんじゃねーぞっ‼︎」

私の中の中里がそう叫んだが,口を噤んだ。

板金7万円コース男

反論する余地などなく,負け戦になる未来は見えているのだから。


私は落ち着いて彼らを傍観しながらグラスを傾けた。

暫く騒がしい声が止んでいるな思っていたら,息子が満を持して登場。

アンダーソン君


ハットを被っていた。

首元にはネクタイが。

折り紙の。

Tシャツにテープで貼り付ける斬新なスタイル。

容易に着脱可能な合理性と,様々なトップスに合わせられる汎用性の高さ。

再生紙のコピー用紙を用いたエシカルな精神。

何より特筆すべきは,その奇抜なファッション性。

更にボウタイ(もちろん再生紙)と組み合わせるという妙技も披露。

滅却師完聖体(クインシー・フォルシュテンディッヒ)


洋服屋は,型なしではなく型破りを志しますが,小学生の息子にその真髄を見せられた気がします。


なんかYouTubeで観たキャラクターのコスプレらしく,自慢げに見せてきたので「センス○」とパワプロのステータスのような評価を下した一方で,私服でタイドアップしたスタイリングを最近していないなぁと気付かされました。

ビジネスシーンでもクールビズ・ウォームビズが当たり前になってきて,冠婚葬祭くらいでしかネクタイを締めない方も多いかもしれません。

しかし,洋服屋となれば話は別。

特にメンズファッションにおいてドレスの素養は,洋服屋の基礎体力を向上させるために不可欠な要素だというのが個人的見解です。

普段着にルールはないんですが,何でもアリな訳ではない。

それこそ冠婚葬祭にスウェットとジーンズで行ったら怒られますよね?
キャンプにスーツで参加すれば,やる気あるのかと指摘されますし。

洋服屋でなくとも装いの作法やTPOを意識しなければならないシチュエーションはありますが,生業としている立場であれば,その意識を普段着まで広げる努力があります。

でなきゃハズしとして提案しても説得力はなく,実はハズレを勧めている可能性だってある。

数値化できる指標ではないけれど,ぼんやりした枠組みはあって,その中での自由なんです。

サッカーなのにハンド無視してゴールにバンバン投げ込んでたら,つまらないですよね(想像すると笑っちゃいますが)。

定められたルールの中で,時折ルールそのものを変えざるを得ない逸材が現れるわけです。

洋服屋も同じ。

ドレスアイテムに触れる機会が職場でも増えることを願うばかりです。

折り紙のネクタイを見て,物思いに耽る金曜日の夜でした。


以上,型なしではなく型破りになれますように。

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