「歩く2億」と呼ばれた研修医
東京の大学病院、研修医も沢山いました。
忘れられない、外科チームに、今までに見た事のない、美人が研修医が1人入って来ました。
誰もが目を惹く美しさ、気品さがあり、清純可憐な女優さんみたいです。
さすが!東京にはこんな綺麗な人がいるんだ。
しかも外科チームに。
男性ばかりの研修医に紅一点とはこの事。
しかし、その研修医の女医さんは遅刻ばかりして、忘れ物も多く、かなりやばい研修医でした。
噂によれば、あまり聞かない、医科大を卒業しており、かなりのお嬢様育ちで、父親が名の知れた教授であり、
その女医を卒業させるために、2億かけたということで、
その女医は「歩く2億」と噂されていました。
しかし、本当に、いつも泣きそうな顔して遅刻してきては怒られて、、、、、、その姿がまた美しく、切なくなる。
でも父親が教授ということで許されて?なのか。
愛嬌もあってか、乗り切っていて、かつ頑張り屋さんで、遅くまで勉強に励み、患者さんに寄り添っていました。
美人は少し寄り添っただけでも、評価が高くなるし、羨ましいな、と思いました。
ただ、可哀想なことに美人だと上にも可愛がられるようで、よく飲み食べに付き合わされており、
かつ同期からもチヤホヤされてて、誘いが絶えず
私たち看護師にも「しんどい、昨日も夜遅くまでご飯してた。」とか
「明日は釣りに行かないと行けない。」
とか付き合いや誘いが多く、断り辛そうで、美人も得なのか、損なのか分からないな、と思いました。
チヤホヤされすぎもしんどそうです。
いつも可憐な困った顔していました。
更には、付き合い多いのと、ストレスで劇的に太り始め、可憐さは残るものの、見事に変わってしまい、
遅刻もしなくなり、余裕が出てきて、2年目には普通の女医さんになってしまいました。
もう1人決して可愛いとは言えない研修医の女医さんがいて、その方は目立たず、マイペースに頑張っていて、どんどん綺麗になっていきました。
ここでの私が1年目の時、全然上手くいかなくて、抱え込んでポロポロ涙が勝手に出てきたことがあって、
6年目なのに情けないなあ〜と思っていたら
「だ、大丈夫ですか。」って声かけられて、「大丈夫です。」と答えたら
「大丈夫じゃないでしょ。」と言われて、私が落ち着くまでそっと側にいてくれて、経験者と言っても1年目、吐き出す所がなくて辛かったなあ。
でも、だから人のありがたみがよくわかりました。
実は、この東京での1年目は本当に辛くて、よく家でも泣いていました。
夫は勿論、「大丈夫?」とは聞いてくれるのですが、つい、「大丈夫だよ。」と言ってしまって、
そしたら、「なら、よかった。」と放置される事にモヤモヤしていました。
しょっちゅう「大丈夫?」と聞いてくれるんだけど、聞くだけで、スルーされてしまう。
しかし自分でもどうして欲しいのか分からないし、どうしようもありませんでした。
常に不全感が漂ようのです。