大学1年で、留年したい人
悲しい、寂しい成人式が終わって、授業に戻ると、突然…精神保険の先生から呼び出されました。え?あたし?
「1学期よりだいぶ顔が暗く、浮かばない気がするし、寝てばかりいますよね?
誰かとペアで話し合いの時間も1人でぼんやりしているし、とても気になります。
何かありましたか?」
実際はこんな感じではなく、もっと、生徒の私をリスペクトした様な、言い方でした。
単に、バイトに熱中して、授業がどうでも良くなってる、とにかく眠いだけとは、言えず。
黙っていたら
先生
「あのね、ホッタちゃんて、全然授業に来ないけど、将来のこととか、どう考えてるのかな、話し合ったりとかした事ある?」
「なぐらさんも、いつも1人だし、話せるのあなたぐらいなら感じがするんだけど、お話ししてみてくれないかな」
「トダさんは、授業こそ来ているけど、点数がわざとかってくらい低いのよね、何でやろう」
と言われて、ハッとしました。
この先生は私をメインで心配しているわけではなく、
ホッタちゃん、トダさん、なぐらさんの事を聞いてるんだ。
なぐらさんて、パッとしないけど、表面的には明るいし、問題はなさそうなんだけどなぁ。
トダさんて、パッと見派手系で、彼氏いそうだし、車持ってるし、お金持ちそうな子だし。悩みはなさそう。
その子達のスパイをやれと?
自分の事で精一杯なのに、めんどくさいわ。
先生「人間はね、表と裏があって、あなたも働き出して、頑張って、帰ってきて1人でホッとして、1人が良いって思う事もあるかもね。」
先生!全く意味不明です!
と思いましたが、とにかく、なぐらさんと、トダさんと、少し関わってみようかなと…
そんな気分になりました。
トダさんと仲良くなるのは簡単でした。
テスト前に一緒に勉強やらないか?と誘ったら、快諾でした。私の1人暮らしのマンションに来るとの事で待ってたら、派手なサングラスをかけて、イケイケな真っ赤な車で来ました。
どんな子なんだろう。
トダさんはあっけらかーんと、自分のことをお話ししてくれました。
実家住まいで、受験に合格して浪人中に免許取ってて、親が車を買ってくれた。
その車を乗り回して入学してから2回事故に遭って、物損して(山奥のガードレールを、何メートルに渡り歪めたとか)多額のお金を親に払わせてしまって、申し訳ないから、家庭教師のバイトを、始めたと。
そしたら、家庭教師先の親子に気に入られて、ガンガン行く様になって、その子の成績が上がるのが自分のこと様に楽しくなって。ハマっちゃって、自分の成績は下がった、と言うわけ。
元々1年浪人生してて、勉強は良くしていたから、教えるのには自信がある。
自分が留年してしまうかも知れない事に対して
「寧ろ留年したいかも!バイトしたいんだよね、家庭教師大好き!」
私「でもさ、その子が受験受かって先生が留年したとか面子は?」
トダさん「確かに〜笑笑」
トダさんは、親泣かせのお嬢様だなと思う。地元の国立大学を出て、親に車買ってもらったは良いけど、事故で多額の支払いがある上に、更に留年しそう、でも本人はあっけらかーん、留年でもどっちでもいいと。
うちの親だったら許さないだろうな。
トダさんの彼氏は理学部とか。
「正直さーエッチ…痛いんだよね。体位とかどうしてる?バック、マシかな…うーん。すきじゃないかも。」と言ってて
わかるーとか、夜通し、こたつの中で変な話ばっかりになり、
こんなトダさんも彼氏には気を遣うんだなーって。
テスト勉強せずに、赤い車も置いたまま、私の部屋に泊まって行きました。
トダさんとせっかく仲良くなったけど。
トダさんは、希望通り、留年しました。