①なんで看護師になったの?なりたかった?まさかそんな訳ないわ!
時代は遡って1990年代。
私は看護師に憧れた訳ではなくて、寧ろ全く考えていませんでした。
看護師になる軌跡を辿ると本当に不思議なくらい色々あって。
多感な時期に、結局は、ただ逃亡するためだけに看護の道を選ぶ事になります。
はじまり、はじまり。
ずっと親から、あんたは商業系に行って、簿記でも習ってOLして、結婚したら、車でも買ってやる、ほんで運転のできる母親になるのが1番。
と言われていました。
え?私の人生、決まってるの?ずっとそれが憂鬱で、でも自分ではどうする事もできないと思っていました。
高校1年の時、確か5月にある、看護の日。
今で言うメンヘラな友人ミヤコが、看護師体験を誘って来たのです。
どのくらいミヤコがメンヘラかと言うと父親がアル中で1日中家にいて、母親が内職してて、お姉ちゃんと弟がいるのに、ボロボロの小屋みたいな家に住んでいて
真横がラブホで、料金踏み倒しカップルが、ラブホからミヤコの家の屋根を踏み台にして、よくトンズラする、その度に、ドスっ!て音がするって言うような。
貧乏すぎて、看護師になって医者と結婚するように親から言われているとかなんとか。
ミヤコは、話全てが、刺激的な子でした。
看護体験なんて、面倒臭いなと、思ったけど、その子といると刺激がもらえるというか、楽しい子だったので、
その子と一緒なら!と言う軽い気持ちで申し込みました。
いざ、看護体験の1週間前に、その子と、体験先の病院が違うということが判明し…
気が進まなかったけど、申し込んだのだから…という気持ちで行きました。
後で聞いたら、その友人ミヤコは、行かなかったそうです。
えっ!
忘れもしない看護の日に、国立病院に行き、白衣に着替えました。
確か知らない子同士、高校生6人くらいだったと思います。
半分くらいは、小児科、産科に行ってました。
私は何故か1人内科に行きました。
そこで、どっかで転倒したか何かで、顔が半分真っ黒になっている患者さんがいて
思わずガン見して、患者さん本人に怒られたことしか記憶がありませんし、病人なんか見ててもつまんないし、何もいい思い出がありませんでした。
病棟見学が終わって、6人で集まった時、小児科行った子達は、みんな目をキラキラさせて、かわいかったー!とか
産科行った子達も、小さい命に感動したーとか、キャーキャー言ってて、全く話に乗れなかったのも記憶にあります。
最後にみんなで、救急のビデオを見たのですが、ピーポーピーポーの音までは記憶があるのですが、寝てしまって。。。
起きたらみんな泣いてて、1人1人、感想を言うのですが、みんな「胸がいっぱいです!」とか言ってて
なんのことやら。
で、テレビ局が、来て「今日の看護師1日体験です!」と。
パシャパシャ写真も撮られて、新聞にも載り、ニュースにも出て
友人ミヤコのせいで思ったより大変なことになりました。
後日、ミヤコに言ったら「ごめん!今度は必ず行くから!約束する。」とか何とか言ってました。
看護体験は、何の良さもなかったのに、病院から、綺麗な文字で、忘れた頃に暑中見舞いだ、年賀状だ来てて
「あなたが、ここに来ることを楽しみにしています」だの
「あなたが看護師になれるのを待っています!」だの、届いて、何となく、看護師にならなきゃいけないような
圧迫感を感じましたが、その時は、まだ、看護師になろうなんて思っていませんでした。
次回転機が訪れます。