看護師5年目、人生今しかないと学んでいるはずなのに

病棟に、30歳のお嬢様が入院して来ました。

かなりの美しさには、目を見張るものがありました。

佇まいも素敵です。

趣味は乗馬で仕事は通訳で、英語が得意で、何年もの間海外で学生もしていたらしいです。

ほんまモンのお嬢様でした。

そのお嬢様が、まさか、グリオーマだなんて。

余命半年だなんて。

視力がだいぶ落ちていて、危険防止にパジャマにスニーカーという姿でさえ気品のあった彼女。

途中から嘔気、嘔吐が出現し。

素敵な彼氏が、見舞いに来ていたのですが、途中から、彼氏が、部屋に入っていくことを躊躇っている場面を何度か目撃しました。

最後はお母さんがついていたのですが、脳腫瘍のせいで?片方の脳がやられ、英語しか喋らなくなり、

脳って不思議だなと思いました。

その頃病棟に専門の薬剤師が派遣される様になり、

薬剤師官が熱心にその人に声をかけているのを聞いて、優しそうな薬剤師さんが来たな、と思いました。

背も高くて、目立つし、とても話しやすい人でした。この薬剤師が後に運命を狂わす存在になるとは、この時は全く思っていなかったです。

それは置いといて、お嬢様は結局、家に帰り、あの頃では、かなり稀な在宅医と、訪問看護を、受けて自宅で穏やかに亡くなったと聞きました。

ここ、脳外科は若い患者さんが本当に多くて、本大学の学生も、グリオーマで2人入院していました。

まだ大学生で素直で、純朴で、どこかダサいのに、オペのために坊主にすると、意外と、めちゃくちゃ美人だった!

ということもありました。

いつもいつも、勉強していましたが、亡くなってしまいました。優秀なのに勿体無い。

30代くらいのおねぇちゃんという感じの人が入院して来て、お弁当屋で働いていて、今の旦那が私を拾ってくれてー
3人も子供産んだのー、って惚気ていたけど、オペ後に

突然脳死状態になり、かつ、私が夜勤の時に、ウネウネと腰を振り出したので(脊髄反射らしいです)意識が戻るのか?!!と思いきや

1週間高熱が続き、亡くなりました。
脳死って大体1週間です。

残された夫が、怒り狂ってたのが見てられなかったです。

あとは、20で結婚。21で出産、24でグリオーマ…この方もあっという間でした。年の近い女性なんだけど、この方は結婚もして子供もいて、何だか別次元の人間の様な気がしました。
ベッドサイドに「かずき天使」と1歳の子供に天使の羽をつけた写真が飾られている中で死後処置をしました。

夫さんがおかしくなって、病棟中、奥さんを探していた姿が頭に残ってしまいました。

40歳の主婦は、毎日せん妄が酷くて、何度かその細い体で…病棟を抜け出し、警察に保護されて帰ってくるを繰り返していましたが

この方も中学生の男の子2人残して亡くなりました。

57でくも膜下出血の再出血の急死もあれば、

90歳で復活して、施設に帰った人もいますし

60歳主婦の最後の言葉は「ご飯炊かなあかんねん、ご飯。」でした。

改めて人生とは、あっけないもので、「今」しかないんやなぁと思います。


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