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廃棄プラスチックを救おう!(分別の後は、いよいよ樹脂ペレット化)
ここまで、廃棄プラスチックの回収、生ゴミとの分離やプラスチック種類を分けることは非常に難しいことをお伝えしました。また、その困難を様々な技術とソリューションで解決している現状もお伝えしました。
今回は分別された回収プラスチックを破砕し、ペレット化するプロセスに焦点を当てます。この工程は、リサイクル素材を再利用する上で極めて重要なステップです。
では、最新の技術動向や課題、そして未来への展望について、詳しく見ていきましょう!
1.リサイクル粉砕機:進化する技術と応用
まず最初に、リサイクルに使用される破砕機について説明します。これらは、特定の用途に合わせて設計されており、効率的なリサイクルを実現しています。
a)一次破砕機(単軸シュレッダー)
用途:大型のプラスチック製品や産業廃棄物の破砕
特徴:高トルク、低速回転
例:Vecoplanの「V-ECO」シリーズ、WEIMAの「W5.22」
最新技術:WEIMA社のWLK単軸シュレッダーは、油圧式ラム押し込み装置で効率的な材料供給を実現
b)二次破砕機(二軸シュレッダー)
用途:一次破砕後の素材をさらに細かく破砕
特徴:高せん断力、自己洗浄機能
例:Zermaの「GSH」シリーズ
最新技術:Vecoplan社のVAZ2000シリーズは、HiTorc®ダイレクトドライブでエネルギー効率を30%向上
c)ミルタイプ破砕機(グラニュレーター)
用途:薄いプラスチックフィルムや軽量素材の処理
特徴:高速回転、精密カット
例:Pallmannの「PKMシリーズ」
最新技術:HerboldMeckesheim社のSBシリーズは、ロータースピードを可変制御し、異なる材料に最適化
d)ハイブリッド破砕機(極低温粉砕機)
用途:異なる種類のプラスチックや複合素材の効率的な破砕
特徴:液体窒素使用、熱に敏感な材料に適合
例:HerboldMeckesheimの「HBシリーズ」
最新技術:Pallmann社のPKMシリーズは、液体窒素の消費量を最小限に抑えつつ、微粉砕を実現
e)最新のスマート機能
Lindner社のMicromatシリーズ:AI支援型の適応制御システムを搭載
BHS-Sonthofen社のRSシリーズ:IoTプラットフォームと連携し、リアルタイムでの性能モニタリングと予知保全を実現
2.押出機:ペレット化プロセスの革新
次に、ペレット化の中心的役割を担う押出機技術について見ていきましょう。世界中のメーカーが最新のリサイクル技術を開発しています。
a)Coperion(ドイツ)
最新技術:ZSK MEGAcompounder PLUS(最大処理能力12トン/時)
特徴:高トルク比(最大16Nm/cm³)、改良型側面フィーダー
注目ポイント:ZS-EGsidedevolatilization技術で揮発性物質の除去効率が大幅に向上
b)EREMA(オーストリア)
最新技術:INTAREMA®TVEplus®
特徴:CounterCurrent技術とTripleFiltration機能を組み合わせ、高品質なrPETを生産
注目ポイント:BluPort®デジタルプラットフォームで生産データのリアルタイム分析と最適化が可能
c)Starlinger(オーストリア)
最新技術:recoSTARdynamic
特徴:SmartProductionMonitoring機能搭載
注目ポイント:C-VAC®モジュールでPETボトルフレークの効率的な前処理と乾燥を実現
d)KraussMaffei(ドイツ)
最新技術:ZE BluePowertwin-screwextruder
特徴:高トルク密度(最大16Nm/cm³)、モジュール式設計
注目ポイント:APCplus(適応プロセス制御)機能で原料の変動に対してリアルタイムで調整
e)GammaMeccanica(イタリア)
最新技術:GMTandem
特徴:インラインフィルトレーションと脱ガス機能を組み合わせた革新的なシステム
注目ポイント:エネルギー消費量を最大50%削減、生産性を30%向上
3.異物除去技術:ペレット化最終段階での品質向上
リサイクルプラスチックの品質を最終的に決定づける異物選別プロセス技術も、急速に進化しています。
a)異色ペレット選別
TOMRARecycling:
AUTOSORT®:NIR(近赤外線)とVIS(可視光)センサーを組み合わせた高精度選別機
最新技術:SHARPEYE®技術でPETボトルとPETトレイの識別が可能に
BühlerGroup:
SORTEXAGlowVision™:蛍光染料を使用したプラスチックの高精度選別
特徴:可視光では検出困難な微小な色差を識別
b)金属検出と除去
Sesotec:
FLAKEPURIFIER+:多段階の金属除去と色彩選別を一台で実現
最新技術:RAPIDPRO-SENSE®技術で金属粒子の検出精度が向上
Eriez:
FinesSort®:微小な非鉄金属粒子を効率的に除去
特徴:0.5mm以下の金属粒子も検出可能
c)新技術-ケミカルトレース除去
Gneuss:MRS押出機とRotaryFiltrationSystemの組み合わせで、揮発性不純物を効果的に除去
NGR(NextGenerationRecyclingmaschinen):P:REACT技術でポリオレフィンの脱臭と粘度調整を同時に行う
4.プラスチックリサイクル技術の未来
最後に、プラスチックリサイクル産業の未来について展望してみましょう。
a)自動化と統合
ABB社:RobotStudio®ソフトウェアでリサイクルプラントの完全自動化を実現
Siemens:MindSphere®IoTオペレーティングシステムでリサイクルチェーン全体を統合管理
b)AIと機械学習
IBM:WatsonIoT™プラットフォームでリサイクルプロセスの最適化と予知保全を実現
Microsoft:AzureAIplatformでリサイクル材の品質予測モデルを開発
c)ケミカルリサイクル
BASF:ChemCycling™プロジェクトでプラスチック廃棄物を化学原料に変換
Eastman:炭素更新技術で複合プラスチックを分子レベルでリサイクル
d)サステナビリティ重視の設計
Veolia:REPLAYプラスチックリサイクルプラントは100%再生可能エネルギーで稼働
GreenMantraTechnologies:熱分解技術でプラスチック廃棄物から高付加価値製品を生産
e)適応型システム
STADLER:Flexiblesortingplantsで原料の変動に即時対応
TOMRARecycling:GAIN™テクノロジーで新しい材料や汚染物質を自動学習
f)小型化とモジュール化
Polystar:Repro-Flexシリーズでコンパクトで移動可能なリサイクルシステムを開発
Erema:INTAREMA®1108TVEplus®で中小規模の処理に適したコンパクトシステムを提供
まとめ
プラスチックリサイクル技術は日々進化を遂げており、IoTやAIの導入により、プロセス全体の効率化と品質向上が実現されています。今後も技術の革新と普及が進む中で、より持続可能で効率的なリサイクルシステムが構築されることでしょう。
私たち一人一人が、この技術革新の恩恵を受けながら、日々の生活の中でプラスチックの使用と廃棄について考え、行動することが大切です。そうすることで、環境保護と資源の有効利用を目指す、新しいリサイクルの未来が広がっていくのです。
みなさんも、この革新的な技術の一端を担う存在になってみませんか?私たちの小さな行動が、大きな変化を生み出す原動力となるのです。