時かけのあのセリフだけで無限に喋れる
※※ATTENTION!※※
この記事は2021年8月頃に勢いで書き、下書き保存していたものです。リアルタイムな話題を含めてしまっていたので念の為。
※※この記事は細田守監督のアニメーション映画「時をかける少女」(2006)の盛大なネタバレを含みますのでご注意ください※※
※※ついでに「竜とそばかすの姫」のネタバレもさらっと出てくる可能性があるので、少しでも興味があってまだ観ていない方はぜひすぐに映画館へ行ってください。アレは映画館で見ないと損です。とにかく音と曲が良い。そして映像が美しい。※※
→記事公開現在、放映は終わっています。
さて、これだけネタバレ注意を書いたので心置きなく書き散らかそうと思います。
時を遡ること数週間前。→つまり2021年7月頃のこと。
唐突に「竜とそばかすの姫」を観ることになり、音楽に圧倒され「ナニコレ、好き」となった私は家に帰ってからストーリーについて悶々と考察しておりました。(詳しいことはいつかまた別記事として書けたらいいな)
そして思い出したのは「時をかける少女(以下:時かけ)」のこと。
というのも、竜とそばかすの姫には時かけを彷彿とさせるようなシーンがいくつかあったわけです。
ああ、時かけ見たい。
6月にプライムビデオに追加されていることは知っていたし、何なら金曜ロードショーで時かけが放送されていた時の録画もあるので、時間さえあれば見られるという状態。
ただ困ったことに、映画を一本見るとなると二時間前後拘束されてしまうわけで。途中で何かを挟むとかそういうのが苦手なもので、見始めたら最後まで見られる!という心身状態じゃないと映画など迂闊に見られない人間なんです……。
そんなわけで、見たいみたいと思いながら、とりあえず記憶の中で時かけを再生しておりました。
時は経って約二週間後。→2021年8月頃
好んで読んできた作品がいくつか被っている友人と話していたら、その友人もすでに「竜とそばかすの姫」は見たとのことで、思っていたこと考えていたことを話したくて仕方がなかった私はもう全力で飛びつきました。
そしたらやっぱり途中で時かけの話題になって。
「『未来で待ってる』の一言で無限に語れる」
というもう世界では語り尽くされたのではないかくらい当たり前すぎる一言が友人から放たれました。
いやもう本当にそう。
……というわけで、前置きがとんでもなく長くなりましたが、この記事は改めて時かけを見た私が好き勝手に感想考察を並べ立てて騒ぐ回となっております。
どうぞよしなに。
・「未来で待ってる」
見た人は想像に容易いと思うんですが、ひゃくぱー(100%)会えないんですよこの二人。もう絶対に会えないの。だって生きてる時代が違うんだもの。
時かけ初見のときは小中学生で完全に少女漫画脳だったので、「未来で待っててくれるの…! 会いたいね…!」って感じになってたんですが、そんなわけない。
たぶん、百年くらいじゃ野球は廃れないし、スクランブル交差点が埋まるほどの人は減らないし、川が地面を流れなくはならない。と、思う。
よっぽどの天変地異が起きなければ……まあ時間を自由に移動できるようになるのはもはや天変地異レベルか。
でもとりあえず数年数十年先の話ではないわけですよ、千昭の生きている時代というのは。
仮に、万が一、百万が一、千昭の生まれた年が真琴の世界の五十年後だったとして、もうそれはおばあちゃんと孫レベルの年齢差なわけです。……さすがに結ばれないだろうなぁ。(大人になってしまった私、もうそこまでロマンチストではないです。)
きっと真琴はあの絵を守りながら、全然違う他の誰かと結婚して、子どもを産んで、さらにその子が子を産んで、たくさんの家族に囲まれながらそれなりに幸せに生きていくんじゃないかなと思ったりするんです。(ここは件の友人と話したこと)
もしくは魔女おばさんのように過去を思いながら生きていると、気がつけば何年も時が経っていたみたいなパターン。
絶対に会えない二人だから、真琴も千昭もお互いの存在を心の何処かに置きながら、別の誰かと別のかたちの幸せを手に入れて生きるのか、と。もうこの時点で切なくて涙出てくる。
真琴がおばあちゃんになったとき、
「昔こんなことがあってね」
「おじいちゃんには内緒だよ」
って孫に話していたりするんだろうか。泣く。
じゃあ千昭の「未来で待ってる」ってナニとなるわけなのだけど、冷静に考えたら「(あの絵を)待ってる」つまりは絵が残ることで「(真琴が生きた証を)待ってる」っていうことになるんだろうな、と思った瞬間にまた私は泣く。泣かずにいられるか。うわああんやっぱり会えないいいいい。
トキメキの有名すぎるシーンだけど、ここは切なすぎて泣くしかないシーンです。本当に。
最後に真琴の頭をくしゃくしゃと撫でていくところも。名残惜しそうに指先が残るところも。だって!触れられるのはこれが最後……!!!(興奮して情緒が乱れる)
(ちょっと冷静さを取り戻す時間)
真琴の「うん、すぐ行く。走っていく」が魔女おばさんに言われた「(真琴は)待ち合わせに遅れた人がいたら走って迎えに行くタイプでしょ」に対応していたことに気づいたのはお恥ずかしいことながら今回(※2021年8月)が初めてでした。泣きながら鳥肌立ってた。
待ってるのは千昭だけども!
時の流れとして考えるなら、遅れていくのは真琴の方だけども!
でもなんだろうな、迎えに行くのかな。千昭の心を。
絵をみた瞬間に千昭は静かに泣き崩れるんじゃなかろうか。「約束通り、迎えに来たよ」ってどこからともなく声がするかもしれない。そしたら私の全細胞が泣きます。あくまで勝手な想像です。
無限に語れるとか言いながらとりあえず一息つけるところまでたどり着いてしまった。
でも『未来で待ってる』の項だけでこれだけあります。
このあとの小ネタにもたぶんまた出てくるし、何なら変わらないものとガーネットの話を始めたらまた戻ってくるやつ。
とりあえず本題にして私の一番語りたかったところは以上です。あとは小ネタ。
・「ここから」分岐矢印
千昭の告白をなんとしても避けたい真琴が歩き出した道、の、標識。エモい。まさに分岐点。
・「01」を見つけたときの真琴の服が「01」
上と同じく映像として視覚化されてるからこそ、饒舌にならない良さ。
・時をかけている世界の赤い輪郭線
現実世界と分けるためなのか輪郭線が赤くて、これサマーウォーズのOZでもそうだし、そばかすの姫のUもそんな感じだったような。赤ってなんかの象徴なのかな。現実世界は空も海も青いからだろうか。青と白の世界と、時が回っている赤と緑(歯車)の世界。
・千昭を守るために跳ぶけどゆりちゃんのためには跳ばない
同級生の男の子が振り回した消火器が飛んでくるところ。真琴、自分を庇ってくれた千昭を守るために一旦跳ぶけど、それがゆりちゃんに当たったときは跳び直さないんだなって。
真琴守るために飛び出しちゃう千昭すきです。(一視聴者の私、ゆりちゃんに対しては薄情な奴かもしれない)
・たぶんもうちょっと上手くやれる
これが大学生とかもっと大人だったら、きっとなにかに気づくのも早かったかもしれないし、もっと上手に知らないフリや立ち回りができたかもしれない。
だけど、高校生という荒削りで危うい年齢だからこその安易なタイムリープと感情に全振りした行動が出来るんだろうなと思うと、高校生でしか成り立たないなという気持ちになります。こんな青春なんてなかった。
・クルミのチャージ
物語の大前提ひっくり返すことになってしまうんですが、タイムリープの回数使いきる前に新しいものを体内にチャージできないんだろうか……?という単純な疑問。
ルールとか言ってたし上限とかがあるのかな……あんまり突っ込んではいけないところかもしれない。
・理科実験室であった必要性
理科実験室……と言いつつたぶんすべての始まりのあれはどちらかというと理科準備室な気がする。
なんで理科室だったんだろうなあという素朴な疑問もひっそりあります。原作小説の踏襲ってことで良いのかな……。
・美術館に何度も足を運ぶ千昭
美術館で修復中の張り紙があるのを何度も眺めている人が千昭であることを初めて知りました…結局見た?見てないよね??真琴が最後に跳んでリセットした結果、未来に帰れる千昭が持ち帰っている記憶の中にはあの絵無くない?え??あ、でも帰らなきゃいけないのに夏になった、って言うから一回は見れたのか??修復作業っていつからやってたんだ〜!
・魔女おばさん(原作の主人公)
原作読んだのはそれこそ過去の記憶なのでちょっとネットの海に助けてもらったんですが、原作では和子さん(魔女おばさん)は『また会いに来る』と言われているらしいです。『未来で待ってる』すら対比だった……!!
でもタイムリープのことを知られたからその人間にもう会うことはできないんですよね、ルール……。会いに来れないじゃないか……。記憶はどうなってるんだったか……。
・タイムリープ先の選択
真琴の最後のタイムリープのときだけ、意図的に時間を探して選ぶことができていたような気がしました。(途中のは勝手に戻ったり、明確にここって思うだけで赤と緑の世界で探しているわけではなさそう)
やりたいことが見つからなかった真琴がどうしてもこれだけはという強い意志を持って跳んだからなのかなあと思ったり。
そもそもある程度強い意志がないとタイムリープはできなさそう。
・切ない千昭くん
ゆりちゃんと良い雰囲気になっている場面、千昭の顔半分隠れてて目が映っていないのが切ない。笑っているけど本心じゃないのかもしれない。
・変わらないもの(挿入歌)
千昭に会いにいくために走っているのは真琴だけど、変わらないものの歌詞は『僕は今すぐ君に会いたい』
千昭か!?千昭なのか!?!
功介たちを助けるために最後のタイムリープ使って真琴の前から姿を消してしまった千昭の曲なのか……!?
そういえば千昭視点の曲という話を見かけたことある気がする。
真琴のそばにもいられなくなって元いた時代にも帰れなくて、時の狭間で揺れている千昭もやっぱり真琴に会いたいのかなって思えるこの歌詞が最高すぎる……奥華子さん素敵すぎ。
『僕は何度も生まれ変われる』
真琴、生まれ変わって未来で千昭と会えてほしい……。これが『未来で待ってる』ってことなのかな……。千昭が出会って恋をした真琴そのひとではなくても、何度生まれ変わっても、変わらないものを持っていたらきっと分かる、みたいな。だから変わらないものを探しているのかも。
深すぎて涙なしには聴けないな、この曲。
・ガーネット(主題歌)
真琴視点の曲だという話をちらほら見かけたことがあるような。
エンディングで流れるけど、千昭が未来に帰ってしまったその夏ではなくて、その一年後、数年後の曲かなぁと思っています。
この歌詞もまた天才すぎる。
『未来で待ってる』で「真琴はなんだかんだ別のだれかと幸せになって生きていくんじゃないか」という話が出てきたのはこの曲の歌詞があるから。
『いつか他の誰かを好きになったとしても』
『あなたはずっと特別で大切で』
そういうことかなあと思っています。
たぶん半年にも満たないような期間だけれど、一生の爪痕を残すには充分な出来事だなぁ。人生においては実際はたった一日だけれど。(詳細は以下)
・とにかく濃すぎる7/13
始まりはぜんぜんツイてないナイスの日。
真琴がタイムリープの力を手に入れるのも、一回死んでるのも、功介と後輩ちゃんが事故っちゃうのも、それを戻した千昭が未来に帰るのも、真琴が戻した世界で千昭が未来に帰るのも、ぜーーーんぶ7/13!(のはず)
濃すぎて情報過多だわ。
でも結局この日に始まってこの日で全ての決着がついているからあんなにタイムリープしたけれど元の時間軸のままってことになるんだろうな……え、すご。あんなに激動の日々だったのに。世界はそのまま流れていくだけなのか。変わったことに気づいているのは真琴と千昭だけ。世界の秘密を知っているのは二人だけって感じ……? そういうのすごく好き。
誰も死なずに7/13が終わって、千昭がいなくなって7/14が始まる……、あ、7/13には誰かがこの時代(世界)からいなくなるのは決まっていて、それが真琴から功介となって最終的に千昭に移ったということ……? これが世界のしわ寄せ……? さすがに深読みしすぎているかも。別の時間巻き戻し系の映画の影響を受けすぎている気がする。
以下は考察できなかった疑問。主に千昭。個人的な見解がある人、大歓迎です。
・千昭の世界では何が起こっているのか
・千昭はなぜあの絵を知ったのか
・千昭が数学だけやたらとできる理由
・千昭は真琴のタイムリープにいつ気づいたのか
・世界のしわ寄せはどこにいったのか
考えても答えはないかもしれないけど、こんなに考える余白がある作品っていいな〜と思う今日この頃です。
竜とそばかすの姫も余白がいっぱいあって想像するの楽しいです。
こんなにとっ散らかった文を読んでくださった方、ありがとうございました。
今ならプライムビデオで見られるので一緒に何度も見ませんか……!(※ステマじゃないです)
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