三禅定トレイル(リベンジ)〜日本三霊山 白山・立山・富士山を走る巡礼旅〜epi.06 応援の力を背に100kmのロードをゆく
2023年8月11日〜18日の8日間をかけて日本三霊山を巡る巡礼の山旅、旅ランをしてきました。
今回その旅の記録です。
8/13(DAY3) 頼成の森~立山駅~雄山(立山山頂)〜五色ヶ原
「ランとはまた皮肉なものだねえ。」
~「ランってやっぱり辛く、大変なことなんですね。」
「風も大きく影響するからなあ。逸れてくれたらいいんだけど。」
~「確かに、風の影響は大きいですよね。ランニングには。」
「・・・何言ってるの。僕は台風のランの話しをしているんだよ」
~「っえ?ランってランニングのことじゃなかったんですか?!今回の台風7号の愛称がラン!それはややこしいですね。」
今回接近している台風7号の愛称は「ラン」
なんという偶然という驚きとともに自分にはどうしようもならない不思議なパワーがあるのではないだろうかと思わずにはいられない。台風7号は太平洋を本州の静岡付近を上陸するルートで北陸へと直撃する予想だ。
一番最接近しそうなのが8/15で立山連峰あたりを進んでいる予定になっている。台風の進路や状況によっては山小屋泊で1日留まる可能性もあるため少しでも前に進んでいたいと僕は思っていた。
そのため3日目の出発時刻を少しでも早めることにした。0時過ぎに出発しようかと思っていたがなんだかんだ寝てしまい、1時過ぎにスタートした。ここから夜中のロードをひたすら走る。
途中富山の町を通過するためコンビニがいくつか出現する。毎回立ち止まっていてはタイムロスになるため、一箇所に絞ってコンビニまでを目標に目指した。
時刻は2時、人の気配は皆無でトラックが通る時と外灯が煌々と町を照らしている。静穏な時間に前へと進む。
前日にはぐれてしまったOHISHIさんの現在地を「いまココ」で確認したが少し前をすでに進んでいるようだった。そのうち合流できるだろうと思い涼しい内に快調に走っていく。
だが一向にOHISHIさんは現れず、再度GPSを確認すると、どうやらどこかで追い越してしまったようだった。
途中のセブンで補給食を大量に調達しエネルギー補給をする。
補給をした後の動きが鈍くなるのが難点なのだが(食べる量をしっかりと摂生できればよいのだがそうもいかない)食べたいものを食べて、飲みたいものを飲めるのというのはこの上ない幸せだ。
ここで僕は一つのやらかしてしまったことに気がつく。今回のような旅をするときにサイフを3つに分けている。小銭などすぐに取り出せて使う用とコンビニなどで使用する電子決裁、そして何かあったときのメイン用だ。そしてこのメイン用のサイフがないことに気づく、、、。
「やってしまった。持ってきたつもりが家に忘れてしまったか、、、」
ある程度の現金は持っているのだが、台風が接近していることもあり北アルプスを越える際に山小屋に泊まる可能性もでてくる。そうなった場合に現金が足りなくなる可能性があるためプラスで持っておきたかった。途中のコンビニでおろせば良いと安易に思っていたのだが時は日曜の深夜、出金しようとするとできなく、問い合わせてみると日曜は8時からしか引き落とせないとのことだった。
「またまたやってしまった、、、」
こういう不幸は重なるものである。
不安を抱えながら富山市街から立山町へ向かう道中で夜が明ける。
ふと前に1台の車が停まっていた。山岳会のNさんだ!
家に近くを通るというのを見て応援にかけつけてくれたそうだ。
「救世主現る!」
と心の中の僕がつぶやいた。
持ってきていただいた差し入れのジュースや冷凍のフルーツをいただく。
とともに切羽詰まっている僕はそれとなく聞いてみた。
「あの~Nさん。大変唐突なご相談なのですが、、現金を持っていたりしますか?実はメインのサイフを持っていたと思ってたらなくて、どうやら家に忘れてしまったみたなんです。。。」
状況を察したNさんはサイフからすぐさま持っていたユキチさん2枚を出してくれた。
救世主現る!である。
「旅が終わったらすぐに返しますので!本当にありがとうございます!」
とお礼を言い前へと進んだ。
常願寺川にかかる立山橋を渡った先に岩峅寺という集落があり、雄山神社前立社檀がある。ここ岩峅寺は芦峅寺とともにかつての立山信仰の来客を迎え入れる拠点となっていた場所だ。ここに初日に白山までご一緒したKIDOCCHIさんが応援にかけつけてくれた。本当にありがたい。
飲み物を補給させていただき、前へと進む。1~2km進んだ先で1台のバンが停まっており、エナジードリンクを持った手を差し出していただけた。インスタを見てここら辺にいるだろうと応援にきてくれたはじめましてのYさんだった。
その先の立山駅に向かうまでの道中では白山をご一緒にしたYUTAKAさんが再度応援ラン&エイドに駆けつけてくれた。
富山の人はあたたかい、そしてこういった出会いが今回のようなチャレンジの最大の醍醐味だと改めて感じる。
〜7へつづく