「現おじょ(第01~12回)」の感想文
今日の日記は「市川智彦のボイスドラマ視聴紀行 #30」でご紹介した、桜川ゆかりさん制作の「【ボイスドラマ】現代お嬢様は異世界で王子様になる」の感想を書きたいと思います。
ボイスドラマ視聴への入口としての機能を果たすべく執筆した紹介記事は、以下のリンクからご覧ください。
■感想を書く前に、長々と前置きを。
ボイスドラマ視聴紀行のスタイルとしては、新しく作品に触れてもらおうという新規の視聴者や聴取者を呼び込むための紹介記事としての側面がある一方で、制作陣や声優陣への激励や応援するという側面も持ち合わせています。
クリエイティブな世界……特にボイスドラマ界隈において、こういった評論やレビューを積極的に執筆し、定期的に公開する人は極端に少ないのが現状です。
クリエイティブ業界と言うと、皆さんは「YouTubeとかに、いくらでもゲーム評論している動画があるじゃないか!」と思うでしょう。
ただ、ああいった媒体で動画再生数を増やすのには、実は「ちょっとしたコツ」があるんです。逆を言えば、これを知らないと再生数がちっとも回らなくなります。
そのコツとは「自分の評論を極端に偏った文章で着飾らせたサムネイルを作ったり、キャッチーなタイトル文を掲載することで視聴者の興味を惹き、動画視聴者という大多数の誰かに運命のワンクリックをさせる」という手法です。
皆さんも経験があるかもしれませんが、そういった動画の中身を見た後で「サムネイルやタイトルの文言と実際の評論が乖離してない?」とか、「肯定なり否定なりのポジションは明確だが、評論として見た時に肝心の中身が薄っぺらい……」とか感じたことはありませんか?
貴重なワンクリックを得るために、自分の評論を拡大解釈したり捻じ曲げたりしているのだから、YouTubeなどの動画で「真っ当な評論を探す方が難しい」というのが現実だと思います。
例えば、私がとある動画を作るとなった場合でも、上記した手段を用いるでしょうし、その時の私の論評は「ボイスドラマ視聴紀行」ほどの烈火の熱量もなければ、視聴者への説得力すらない作品が仕上がることでしょう。
何なら「プロモーションを含むPR動画」の方が、上手いコト動画を作れる気がします。褒めまくりは得意分野なので、逆にこういった案件系の動画の方が、私が作る場合は信用も安定もするかもしれませんね!
これは収益化などの要素も絡むので、動画投稿者に物申すつもりは一切ありません。ただ、そういうビジネスモデルである以上「真っ当な評論をしているだけでは再生数は回らない」ですし、そこから「本物の評論動画を見つけ出す」というのは骨の折れる作業です。少なくとも余暇にやる作業とは思えません。
そういったモノが今の世の中ではメジャーであり、私のようにnote無料マガジンで延々と更新し続けている紹介記事が圧倒的なマイナーなのです。
私は、今までクリエイティブな業界の末席に長年携わってきましたが、ひとつだけ確信していることがあります。
それは「ホンモノは間違いない」ということです。
いかにマイナーなジャンルであろうとも、いつの日か「ホンモノ」は人々に評価され、今の世の流れとは無関係に認められます。ただ、それがいつの段階かはわかりませんが、絶対に評価されると信じています。
私は何かに憑かれたかのように、今まで「ボイスドラマ視聴紀行」を書き続けてきました。きっとまた、来週も書くでしょう。まさか第30回を迎えるとは思いませんでしたが……これはマジで驚いてます。
自分はいつも「聞いて、書いて、すぐに公開する」という撮って出しどころか、文章の構成もそこそこにドンドコ出していくスタイルは、シナリオライターとしてはある種の失格です。
ただ、私が目指したいのは「ホンモノの熱量を持った紹介記事」なので、今後もこんな感じで書いていくのだと思います。
★現おじょの感想(以降、ネタバレあり)
制作者の桜川ゆかりさんから「ネタバレありの感想もオッケーですよ~」と言われましたので、壮大なうっとおしいいっちーさんの前置きを噛ませた後で書き始めます。
これらは、私が視聴時に取ったメモからの抜粋になります。
ちょっとうろ覚えになっている部分があるかもしれませんが、その辺はご容赦いただけると幸いです。
■王国としては、後継者の不在がバレるのはかなりの痛手。
これは最初から意図して「クリスニア王国」という設定にして、こういった展開を用意していたと思います。
一般的な王国の定義は「血統で国家を繋いでいく方式を採用することで、大衆に対して安心感と説得力を与えること」が挙げられます。しかし、作中でラヴィ王子の兄弟の話題が出なかったこと、また国王が影武者を置くという提案を受けた後の演技があまりにも大仰だったのも、全ては「王国というシステムが機能しなくなる危険があった」からこその描写です。
大臣のシルドが極刑を免れたミナに対して「国王に嘘八百を並べた」と言いましたが、その実「王国というシステムの欠陥を突いた論理的な打開策」だったのです。まー、そのせいでミナはとんでもない生き方を強要されることになるのですが……
ちなみに、アヴィスが国王に「ミナたちとの同行を無理やり認めさせた」というくだりも、本質的にはシルドと全く同じ論理展開をしています。作中では「息子であるラヴィを探すのに、親友である自分が行くのはおかしくない」と言いましたが、それを「国王も息子のことを持ち出されると頷かざるを得ないよね」という返しがありましたが、これは大臣と回復師との立場の違いを意識したセリフ回しになっただけです。
これは蛇足ですが、仮に設定が「クリスニア帝国」だったとすると、一発で破綻してしまいます。帝国は血統に関係なく、優秀な者が為政者となる可能性があるためです。
第12話までしか視聴していないので何とも言えませんが、ラヴィ王子の思考は破滅型であることは間違いありません。ただ、思考的に「王国制ではなく帝国的な思考の持ち主だった可能性が否めないな~」という感想を強く抱きました。
■ミナという影武者とラヴィ王子は、ニアイコール。
第12話までにこのタイトルを推察できるシーンは、実は一度しかありません。
それは第3話で、ミナが偶然にも地下室へと誘われるシーン「ミナしか読むことができないラヴィ王子の日記らしき書物を読む」です。この直後、ミナは「他の人に見せたのに読めない」と話しています。
おそらく、これは重大な伏線でしょう。
私は「第12話のラスト近辺の描写である推測を立てた」のですが……おそらく間違っています。
そもそも読みを誤っているので、あえて明言しませんが、同じく第12話で起きた「ある事象」に関連付いている気がしたのです。しかし、あの事象そのものはシルドやノルディック、エリシアらが正確に状況を把握していたので、王子の遺した日記らしき書物が読めないという事実と直接的に繋がっていないことを意味します。
ただ、約1名……すっとぼけてるメンバーがいるので、ここが鍵になるんだろうなとは思います。そもそもミナに影武者を強いた人物ですからね、彼は。個人的に、第13話以降の視聴が楽しみではあります!
そうなると、ミナとラヴィの邂逅の際のやり取りがやけにスムーズなのも納得がいきます。確かにミナは、作中でラヴィ王子の粗暴な態度を演じるのに苦労していました。しかし肝心な部分は、いわゆる「ソウルリンク」というか、何か不思議な力が働いていた可能性は否定できないなーと推測しています。
■2人のミナ、2人の王子という対比
異世界に飛んでからのミナは、なぜか過去の記憶を徐々に思い出していきます。いわば、港町以降は「2人のミナ」という描写が色濃く出ています。また、ミナが影武者であるが故に「2人のラヴィ」という構図もいびつな形で表現されていきます。
紹介記事にも書きましたが、ミナの演技にラヴィが合わせるという困ったディレクションも存在するため、巫部えるさんよりも旅音さんの負担が大きくなっているのは、思わず笑ってしまいました。しかも、わりとキッチリ寄せてるあたりが「これは頑張ったな~!」という印象を強く受けました。
2人の王子という意味では、第12話以降では別の形で描写されていくと思うので、その辺も楽しみです。
■第12話までの導線を敷いてよかったと心から思える。
第12話までに異世界における情報が丁寧に語られ、ミナがパーティーメンバーとして戦力としても数えられるようになり、仲間たちの掘り下げも済んでいて、今後の展開に必要な有名な冒険者集団、そして真に戦うべき敵の存在……と、必要な要素がキレイに出揃った状態まで新規の視聴者さんを誘導できたのは、本当によかったと思います。
実は桜川ゆかりさんとお話する機会があった時に「第8話まででも構いません」という案が提示されており、もし切りがよければそこまで……と考えていたのですが、結果的に当初のお約束通り「第12話までの紹介記事」という形でアプローチさせていただきました。
なんだか自画自賛するみたいで嫌なのですが……正直、第8話で妥協して執筆していたら、ああいった形の紹介記事にはならなかったと思います。もっと熱量の穏やかな感じになっちゃったんじゃないかな、と。
そのくらい第12話まで聞けたことは、自分にとっても大変なプラスになりました!
■屋外と洞窟での戦い方は本当に違います
これは、大いに納得です。
特に、TRPGやPBWの経験者は大きく頷くシーンだと思います。
あと、虹色のスライムちゃんの鳴き声がかわいい!
■ラヴィ王子の真意はどこにある?
第12話で寸止めしたのと、意思を持った明確な敵として登場したこともあり、本物のラヴィ王子は気になる存在です。旅音さんも本来、こう演じるべき芝居を本気で取り組むことになるので、どこまでを要求されているかはわかりませんが……
パーティー内で厳しい指導やツッコミこそありましたが、実際に敵対するであろう意思を持った敵が言い放つ言葉として、ラヴィ王子がアヴィスに本心(?)を曝け出すシーンがとても印象的です。
ただ、やはりどこか引っかかる。
視聴者としては「ウォーミングアップでひとつの村を滅ぼした大悪党」であることは把握していますが、あの時点でアヴィスたちはラヴィ王子の一団が犯人だとは知りません。だからこそ、私もアヴィスの言葉こそが全て正しく聞こえました。
そもそも、パーティーメンバーの誰も例の日記は読めなかったでしょうが、ラヴィ王子が書き残した内容をミナが口頭で伝えているはずなので、本人と相対した時にろくでもねぇことが起こる予感は、特に年長組はしてたのでしょう。
しかし、ラヴィ王子は人間を見限ったかのような行動をし、今まさに徒党を組んでいます。いくら父親である国王から言われたからって、人としてしっかりと付き合いのあったアヴィスをいとも簡単に見捨てて、なぜ黙って出奔してしまったのか……これは個人的には「深い謎」として心の中に残っています。
アヴィスの特異性は作中で何度も強調されてはいましたが、再会した段になってラヴィ王子が「その才能、憎し!」と言っても、個人的にはどこかピンと来ません。彼を凶行に駆り立てた理由は、もっと別のところにあるのではないかと思わざるを得ません。それも一時的に徒党を組んだ誰もが知らない、ラヴィ王子の心の深淵の底にある気が……?
★現おじょの感想を書いた感想
これ、くどくない?
大丈夫かな、なんか厄介オタクみたいになってない?
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