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ボイスドラマ視聴紀行 #21

 今回ご紹介するのは、なるらんどさんが企画された『ワンテーマボイスドラマ紹介集』です。
 2024年最後のテーマ「闇鍋」が発表されたことに加え、残り1週間を切ったM3秋2024の準備号として、また本企画の新たなご紹介スタイルのパイロット版のような位置づけで、今までに発表された作品をまとめてご紹介します。

 以下、文章表現の都合上、敬称略とさせていただく箇所が存在します。あらかじめご了承の上、本記事をお楽しみください。
 また、ボイスドラマを視聴・聴取した上で感想を書き進めるスタイルのため、あえて備考やクレジットを見ずに執筆している場合もございます。

 従来の「ボイスドラマ視聴紀行」はひとつの作品をネットリと丁寧にご紹介しています。そこを、今回はとにかくご紹介の本数を増やし、いつもよりサッパリとした形式でご紹介したいと思います。
 上記のコンセプトを行う上で、通常回と違う短めのまとまった紹介文になりますので、その点はあらかじめご了承ください。

 なお、なるらんどさんから紹介を依頼された訳でも、自薦他薦があった訳でもありません。今回は市川智彦が自らボイスドラマを検索し、そこで巡り合った作品を紹介していきます。



リトルジャーニー(制作:創作ユニットじょうろ)

 創作ユニットじょうろさんが制作された、ワンテーマボイスドラマ「旅」を描いた作品です。定期的に短めの聞きやすいボイスドラマを配信されておられるので、興味のある方は下記のリンクからぜひお聞きください。

 おそらく、この尺での脚本作りがお得意だとお見受けしました。
 ただ、特筆すべきは、ボイスドラマが始まっても、登場人物の設定など、そういった詳細は一切ないことです。登場人物は男性か女性かもわかりませんが、それを凌駕する魅力を秘めたストーリー展開は素晴らしいです。

 とはいえ、物語はどこかゆったりしたペースで進んでいるような印象を受けるのは、この創作ユニットの強みなんだろうなと思いました。
 本当に何気なく始まり、何の違和感もなく、そのまま何気なく終わる……こんなボイスドラマがあったのかと、個人的には目からウロコの作品です。おそらく朗読劇ともまた違う、本当に不思議な構成になっているので、皆さんもぜひお聞きください!

 ちなみに、本作は視聴をオススメします。
 実際に撮影された写真が用いられているようなので、それも含めて皆さんもちょっとした旅気分を味わってみてはいかがでしょうか?

自分も一緒に歩いてるみたい

Drawing.(制作:ちそら)

 ちそらさんが制作された、ワンテーマボイスドラマ「絵」を描いた作品です。ちそらさんご本人のボイスサンプルや、短編から長編に至るまで、たくさんの作品を制作しておられますので、興味のある方は下記のリンクからぜひお聞きください。

 絵を描くことに喜びを感じていた主人公の「今まで」と「これから」をリアルに描いた作品です。短時間のボイスドラマではありますが、とても奥行きのあるストーリーになっていて、ビックリされる方も多いのではないでしょうか?

 メインキャラは主人公ともう一人だけですが、これも本作に欠かせない要素になっています。さらに思春期特有の感情の揺れや天才肌の人物像の描き方も秀逸で、シナリオ展開に無理がなく、スムーズに聞いていられるのが聴取者の気持ちよさへと繋がっていきます。
 主人公の最後のセリフもあえて平坦に演じることで、作品全体をいい形でまとめていると感じました。短編の中では出来のいい作品のひとつだと思います!

 この年齢って、意味もなく尖ってたりするモンです。本当に意味はないんだけど、素直に変わることもできなくって……そんな思春期なあの頃を思い出させてくれる良作です。皆さんの心にもきっと何かを残してくれる、そんな作品だと思います。

好きなコトはそのままの方がいいのかもね……

告白(制作:オフィス・キリー)

 オフィス・キリーさんが制作された、ワンテーマボイスドラマ「2人掛け合い」に参加した作品です。オフィス・キリーさんは精力的にボイスドラマを制作されており、短編から長編までたくさんの作品を発表されています。オチドリコロシアムにも応募されるなど、そのパワフルさは随一です!
 興味のある方は、下記のリンクからぜひ投稿作品をご確認ください。

 本作は、サムネイルや序盤の雰囲気から「シリアスなのかな?」と思うかもしれませんが、そのうちに首根っこ掴まれて、思いも寄らぬ方向に投げつけられます。ゆめゆめ、油断召されるな?
 内容の一部についても、個人的には「確かにここじゃないとなぁ……」という印象を受けましたが、この辺はいわばキリー節が光る部分かなと思いました。

 聴取者の方が共感できるネタではあるのですが、どこか非日常の香りも漂う本筋から、我々が気分よく聞き終えることのできるラストまで、とても楽しく聞くことができます。
 このジャンルは扱いがとても難しいのですが、『2人掛け合い』というテーマを枷ではなく武器にして、バッチリと描き切っている部分がとても評価できる作品です。

 この作品は、聴取がオススメです。聞くだけで理解が追いつく設計になっていますし、それだけの勢いもありますので、決して身構えず気楽に聞いてみてください!

「便りがないのがいい便り」ってね。

善悪と林檎(制作:亜和希)

 亜和希さんが制作された、ワンテーマボイスドラマ「花」の参加作品です。亜和希さんは短編ドラマを中心に制作されており、気軽に楽しめる作品がたくさん並んでいます。
 興味のある方は、下記のリンクからぜひ投稿作品をご確認ください。

 今までの作品とは、またしても一線を画す物語の描き方で、聴取者を楽しませてくれる不思議な魅力があります。どこか哲学的なニュアンスがありながらも、導入部ではそんなことを全く感じさせない構成力も特筆すべき点かと思います。
 本作は5分と満たない作品でありながらも、「このような切り口で書けるのか」と驚きを隠せません。

 友達同士と話の引き出しが被らないようにするのって、個人的には「あるあるだなぁ~」と思って聞いてましたが、皆さんはどうお思いになられましたか?
 いわゆる「ネタ被り」的な側面ではなく、単純に「相手の知識量が凄いので、別方面に舵を切る」という形ではあるのですが、友人関係をうまく描きながらもテーマを拾うあたりが素晴らしいと感じました。

 本作は視聴でも楽しめるようになっていますので、ストーリー展開と共に変化する画像も併せてお楽しみください!

こんな風にかじれる方、いますのん?

ご案内「2024年最後のテーマは『闇鍋』です!」

 すでに、なるらんどさんから発表があり、前述もしておりますが、年末に公開開始となるワンテーマボイスドラマのお題は『闇鍋』となっております。

 ワンテーマボイスドラマとは、いちおう規定時間を7分以内とし、テーマに沿ったボイスドラマ作品を制作するという企画となっております。
 ただ、この企画は賞レースでも何でもないので、時間を大幅に超過した作品でも公開は可能ですし、現に長編になっちゃってた作品がYouTubeなどで掲載されていますので、ご興味のある方はこの機会にご視聴ください!

 なお、現在は『絵』をテーマにした作品が最新となります。
 ちなみに過去を紐解けばとんでもないお題があり、私の紹介記事でも何度か取り上げているので、note無料マガジン「市川智彦のボイスドラマ視聴紀行」の方もご閲覧いただきまして、その苦労を感じながらの視聴も楽しみ方のひとつですので、何かのついでによろしくお願いします!


クレジット(敬称略・リンクあり)

▢リトルジャーニー
 〇キャスト
  
広瀬弥
  長月ゆうひ
 〇脚本
  
長月ゆうひ
 〇撮影
  
cheetah
  tomasa
  ふぉあグラ
  長月ゆうひ
 〇制作
  
創作ユニット じょうろ

▢Drawing.
 〇キャスト
  
絵馬 アキラ:羽田オリ
  齋宮 イツキ:あくたじう
  女性エキストラ:柘榴石
  女性エキストラ:音羽 苑
  男性エキストラ:織羽 涼音
 〇編集 / 企画
  
ちそら

▢告白
 〇キャスト
  
修道女:SeiN
  子羊:叶望深
 〇脚本 / 演出
  灰谷霧人
 〇イラスト
  
里見宵
 〇制作
  オフィス・キリー

▢善悪と林檎
 〇キャスト
  マホ:七七七七
  ユナ:巫部える
  アダム:色彩天宙
  ヘビ:東雲やみこ
 〇監督 / 脚本 / 動画編集 / 音楽
  
亜和希

本当にパイロット版なので、続けるかどうかは反響次第。

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