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ボイスドラマ視聴紀行 #24

 今回ご紹介するのは、なるらんどさんが企画された『ワンテーマボイスドラマ紹介集』の第2弾です。
 ボイスドラマ紹介企画が第20回を超えた際、本企画の新たなご紹介スタイルのパイロット版のような位置づけとして、第21回に公開したのですが……ハッキリ言うとビュー数が異常なまでに伸びたので、今後も定期的にやっていこうかなと考えました。

 以下、文章表現の都合上、敬称略とさせていただく箇所が存在します。あらかじめご了承の上、本記事をお楽しみください。
 また、ボイスドラマを視聴・聴取した上で感想を書き進めるスタイルのため、あえて備考やクレジットを見ずに執筆している場合もございます。
 なお、目次のタイトルが長くなると判断した場合、正式名を短縮して掲載することもございますので、あらかじめご了承ください。

 従来の「ボイスドラマ視聴紀行」はひとつの作品をネットリと丁寧にご紹介しています。そこを、今回はとにかくご紹介の本数を増やし、いつもよりサッパリとした形式でご紹介したいと思います。
 上記のコンセプトを行う上で、通常回と違う短めのまとまった紹介文になりますので、その点はあらかじめご了承ください。

 その点は、パイロット版として制作した「第21回」をご覧いただく方が早いと思いますので、以下にリンクを貼っておきます。

 なお、今回もなるらんどさんから紹介を依頼された訳でも、自薦他薦があった訳でもありません。今回は市川智彦が自らボイスドラマを検索し、そこで巡り合った作品を紹介していきます。



ラストラン(制作:朝椋サクヤ)

 朝椋サクヤさんが制作された、ワンテーマボイスドラマ「終わり」を描いた作品です。ワンテーマボイスドラマ参加作品の短めで聞きやすいボイスドラマや「歌ってみた」なども配信されておられるので、興味のある方は下記のリンクからぜひお聞きください。

 サムネイルからお察しのように……なーんて、ありきたりな言葉では絶対に収まらない、末恐ろしいまでのコメディー作品です。
 しかも「ラストラン」どころか、いわば「最初から最後までクライマックスだぜぇ!」なので、1分も経たないうちに笑いっぱなしで聞き終わること請け合いです。

 企画立案された朝椋サクヤさんは、コメディー書きとしてはとても優秀だと思います。それに応え得るキャスティング能力も卓越していますが、全力の演技で応える声優陣もまた秀逸です。
 物語の終盤になると、いろんな境界線がブレてくるあたりを意図したのか、それとも無意識にしたのか……いずれにせよ、天才の所業です。まるで視聴者の胸ぐらを掴んで、勢いよくストーリーに沈めていくスタイルはコメディー書きの優秀な才能しか感じませんでした。
 約8分の短編ではありますが、皆さんは恐ろしいほどの疾走感で聞き終わることでしょう。コメディー作品の最高峰、ぜひご堪能ください!

 ちなみに、本作においては視聴を強くオススメします。
 映像をも駆使して、これでもかと朝椋サクヤワールドを展開してくれます。ちょっと脅威なのは、ボケが強すぎてツッコミが追いついてないのに、作品としてまとまってる点でしょうか……この作品、マジで必見です!

 これは蛇足ですが……
 概要欄に「制作の経緯」が書かれていますので、そちらを読むともっと驚嘆するかと思います。ちなみに、私はビックリしました。

今回も出ました! コメディー界の超新星!

「for you」(制作:巫部える)

 巫部えるさんが制作された、ワンテーマボイスドラマ「メリーゴーランド」を描いた作品です。ワンテーマボイスドラマ参加作品や「歌ってみた」が豊富に掲載されています。
 また、声優としてもご活躍で、過去の拙筆においてもご出演されている作品がございます。そのため、ボイスサンプルも掲載されていますので、興味のある方は下記のリンクからぜひご閲覧ください。

 過去の主な紹介記事は、以下にリンクを貼っておきます。

 まずご紹介すべきであり、素直に驚くべき点として、本作が「約4分のボイスドラマ」という短い尺をいっさい感じさせない、全てが聞きどころという作品に仕上がっていることです。
 しかも、作風が「ゆるふわ系」という……ただ、天然交じりのコメディー要素もブレンドされており、超短編としてはもはや傑作と呼べる作品だと思います。

 巫部えるさんは、単純に「掛け合いの芝居」として脚本を書かれたのかもしれません。お題に出ている「メリーゴーランド」も物語の鍵になっていますし、親友との関係性も短い尺の中でうまく描き切っておられます。
 その中でも強く印象に残ったのは「たとえ大人になったとしても、いつでも子供心を持つことはいいこと」というメッセージです。そういう気持ちって、意外とどこかに置いてきてしまうんですよね……あ、この点はネタバレになってないので、皆さんはご安心ください!

 本編につきましては、視聴がオススメです。
 タイトルにもちゃんと意味があるので、隅から隅まで楽しめる作品に仕上がっています。今までの紹介記事ではほとんど存在しなかったジャンルの「ゆるふわ系ボイスドラマ」をぜひお楽しみください!

 あと、とある出演者にもご注目ですよ?
 登場は一瞬ですが、とてもかわいいですので!

こういうことなんでしょうかねぇ?(暗喩)

ラストボイス(制作:亜和希)

 亜和希さんが制作された、ワンテーマボイスドラマ「あなたがボイスドラマを通して伝えたいこと」を描いた作品です。前回の短編集でもご紹介させていただきまして、今回は2回目となります。
 以前もご紹介しておりますが、基本的に短編のボイスドラマを精力的に制作されている制作者さんですので、皆さんもぜひサイトにお立ち寄りください。

 本作は約7分という尺の中で、いわゆる現代のネット社会の縮図を描いたかのような作品になっています。
 また、テーマに絡めている題材も「ボイスドラマ界隈」ということで、制作陣や声優陣をはじめ、聴取者や視聴者の皆さんには胸に刺さるストーリーになっているのではないかと思います。もしかしたら、誰しもがそういった感情を得ながらも、誰も作品として具現化し、昇華しなかった禁忌の題材とも言えるかもしれません。

 亜和希さんを語る上で、いつも私の口から出てしまうのが「哲学」という言葉です。
 現代社会を描写するにしても、余計な部分を削ぎ落すのがとてもお上手ですし、本当に伝えたいメッセージが明確に描写されている点も素晴らしいと思います。それらを支えているモノが「亜和希さん独自の哲学的視点」だと感じました。
 制作段階から作品に着手する際の根幹を明確に意識しており、それが太くて曲がらないが故に、脚本の構成もしっかりと伸びていく……そんなイメージを持っています。もはやテクニシャンですね。

 本編につきましては、あえて聴取することを強くオススメします。
 もちろん視聴していただいても構わないのですが、不意に「あるコト」をしてしまうと興が削がれてしまうというか、かなりもったいないかなーと感じました。無論、視聴を前提とした工夫はされているので、その点はご安心ください。

 人間を継続した努力へと導くモノの正体とは、実は「欲望」だったりします。それを偉人たちはキレイに言いたいがために、時として別の言葉に置き換えたりもしますが、本質は常に「欲望」なのです。
 それを自覚することが罪なのか、知らずに生きて罰を受けるのか……本作はそんなことすら考えさせてくれる趣深い作品です。どこか社会派でもあり、とてもシリアスな本作は、じっくりと腰を据えてお楽しみください。

その時まで、決して動くんじゃない。

いつか辿り、巡り合う(制作:スイフエ)

 スイフエさんが制作された、ワンテーマボイスドラマ「旅」を描いた作品です。本作は「声劇カタリアシリーズ外伝」としての位置付けですが、世界観などがベースになった独立した短編として構成されています。
 作品の本編が気になる方は、以下のホームページからご確認ください。

 スイフエさんは大長編のボイスドラマを、いくつも精力的にリリースされております。本作を視聴して気になった方は、ぜひ動画のリストをご覧ください。そのパワフルさに圧倒されること間違いなしです!

 約7分という短さなのに、本格的な中世ファンタジーの世界観を存分に感じることができる秀作です。
 効果音や音響の配置やチョイスがとても絶妙なので、どんな聞き手でも気軽に重厚な物語を楽しむことができるのは、本当に素晴らしいことだと思います。また、勇者のパーティー間に存在する、いわば「年長者と年少者」の見方が如実に描かれた短編作品でもあります。

 現在、なろう系というジャンルが確立されていますが、本編は王道のファンタジーから紡がれた年長者からの視点がとても魅力的でありながらも、どこか現代社会にも通ずる部分も存在します。
 人間という生き物は年齢やキャリアを重ねていくと、おのずと自分の立ち位置や才能に気付いてしまうモノです。それはある意味で残酷ではあるのですが、実際は部下や仲間に対して「自分にない可能性」を感じる眼力も養われています。
 もちろん、年少者は的確に自覚はしていませんが、それを導くのは年長者である……という、人間の縮図をうまく描いている作品だと感じました。

 本編はボイスドラマであり、動画として掲載していますが一枚絵で進行するので、聴取することをオススメします。
 何よりも編集技術が秀逸なので、耳を集中させて聞く方が幸せになれると思います。本当に本格的なので、しっかり聴取してくださいね!

 自分の成長や気持ちは、自分が一番よくわかるはずなのですが……ふとした時、誰かと話したり、誰かから指摘されることで気付けたりすることも多いです。そんな仲間たちの賑やかな物語をぜひお聞きください!

やかましいというか、微笑ましい賑やかさ。

ご案内「次回のテーマは『闇鍋』!」

 今回も意図せず、ワンテーマボイスドラマのテーマがバラける形でのご紹介となりました。
 また、ジャンルも「コメディーにゆるふわ系、シリアスからファンタジー」まで、数多くの短編作品をご紹介できて心から「よかったな」と感じております!

 次回のテーマは「闇鍋」となっております。
 現在はSNS上におきまして、各制作陣が声優さんを募集しているのをかなり見かけます。これを機に、本格的にネット声優(ボイスコ)としての活動を頑張ろうという方にとってはチャンスなので、ぜひ応募を検討してみてください!

 なお、「闇鍋」テーマとしたボイスドラマの公開日は事前に指定されております。期日は「2024年12月21日(土)以降」ですので、私もその時までに、何度か「短編集の紹介記事」を出すかもしれません。

 今回は短編集なので、気軽に聞ける作品ばかり!
 この機会に、ボイスドラマに触れたことのない皆さんも聴取や視聴にチャレンジしてみませんか!


クレジット(敬称略・リンクあり)

▢ラストラン
 〇キャスト
  
隼:あさみな
  しずか:巫部える
  おっちゃん:古池 譲二・A
  園内アナウンス:朝椋サクヤ
  予告動画ナレーション:見習マオ
 〇スタッフ
  
脚本、編集:朝椋サクヤ

▢「for you」
 〇キャスト
  
莉緒:巫部える
  茉那:ひなこ
  ジョセフィーヌ:巫部える
 〇スタッフ
  
脚本・編集・動画:巫部える

▢ラストボイス
 〇キャスト
  
亜和希
  色彩天宙
 〇スタッフ
  
監督、脚本、動画編集、音楽:亜和希

▢いつか辿り、巡り合う
 〇キャスト
  
クエスタ:はてな
  ヒース:小日向佑介
  シノン:星野めりか
  ベリル:はせべ倫世
  受付嬢A:はせべ倫世
  受付嬢B:星野めりか
 〇スタッフ
  
企画・脚本:スイフエ

自分の予想よりも、ずっと反響が大きかったので。

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